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「勉強しなさい」で動けないのは、やる気の問題ではないかもしれません ――偏差値50前後の我が子に、もう一度信じてもらうための言葉

中学受験の生活面・メンタル面を考える(17)

今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

感謝申し上げます。

5月の連休も明け、大手進学塾ではいよいよ夏に向けて学習のペースが加速していく時期になりました。次の公開模試や志望校選定テストの日程も近づき、親としては「ここからが踏ん張りどころ」と気合が入るタイミングではないでしょうか。

しかし、そんなお母さんの焦りとは裏腹に、お子さんの様子はどうでしょうか。

夜10時。 リビングで、お母さんは深いため息をつきます。

子ども部屋からは、音が聞こえません。 そっと扉を開けると、案の定、スマホを見ている我が子の姿。

「ねえ、宿題は?」 返ってくるのは、生返事。 「やるって。あとで」

その「あとで」が来ないことを、お母さんはもう知っています。

「お願いだから、ちゃんとやって」 「どうしてやる気を出してくれないの」 「このままじゃ、行きたい学校、どこも受からないよ」

言いたくないのに、口から出てしまう。 言ったあと、廊下に戻って、壁に手をついてしまう。 「私は、何をしているんだろう」と。


お母さんが本当に怖いのは、成績ではなく「我が子の未来」

偏差値が50前後で止まっている。 宿題は半分しか終わらない。 週テストの直しは、ほぼ手つかず。

数字だけを見れば、たしかに厳しい状況です。 でも、お母さんが本当に怖いのは、その数字そのものではないはずです。

怖いのは、「このままだと、この子の将来が閉じてしまうのではないか」ということ。 怖いのは、「私が今、ちゃんと支えてあげられないと、この子は伸びる機会を失ってしまうのではないか」ということ。

中学受験の大手進学塾に入れたのも、少しでも難しい学校に行かせたいと願うのも、すべてお母さんの愛情からです。 それは、間違いなく、本物の愛情です。

ただ、その愛情が「勉強しなさい」という言葉に変換されたとき、子どもにはまったく違う形で届いてしまう――ここに、中学受験家庭の最大のすれ違いがあります。


「やる気が出ない」のではなく、「動けるエネルギーが残っていない」

私はこれまで31年、不登校のお子さんと、中学受験で苦しむご家庭をたくさん見てきました。 そして、1000本を超えるブログでも繰り返しお伝えしてきたことがあります。

それは、「動かない子ども」と「動けない子ども」はまったく違うということです。

怠けているように見える子どもの多くは、実は「動けない」状態にあります。 臨床心理の視点から見ると、**脳と心がフリーズしてしまっている状態(認知のキャパオーバー)**に陥っているのです。

大手進学塾のカリキュラムは、非常に膨大で高度です。偏差値50前後のお子さんにとって、出された宿題のすべてを完璧にこなすことは、大人で例えるなら、未経験の言語で書かれた分厚い専門書を、明日までにすべて翻訳してこいと言われるようなプレッシャーです。

子ども自身も、「やらなきゃいけない」ことは十分に分かっています。お母さんの期待に応えたいとも思っています。 しかし、いざプリントの山を目の前にすると、

  • どこから手をつけていいか分からない
  • どうせやっても全部は終わらない
  • 間違えたらまた怒られるかもしれない
  • できない自分を見たくない
  • お母さんをがっかりさせたくない

こうした不安と重圧が一気に押し寄せ、処理能力の限界を超え、心が防衛反応を起こして「フリーズ(思考停止)」してしまうのです。

これが、外から見ると「ダラダラしている」「やる気がない」ように見える正体です。

  • ぼーっとする
  • ゲームやYouTubeに逃げる
  • すぐ横になる
  • 「あとで」が増える
  • 返事が雑になる

これらはすべて、「もう無理」というサインが、言葉ではなく行動で出ているものなのです。


「勉強しなさい」が、子どもに届くときの「翻訳」

ここで、お母さんが「勉強しなさい」「やる気を出しなさい」と声をかけると、子どもの中ではこう翻訳されてしまいます。

「お母さんは、できない私のことが嫌いなんだ」 「がんばっても認められないなら、もう動かないほうがマシだ」

これは、お母さんの本心とは正反対です。 でも、エネルギーが切れている子どもの脳は、言葉を素直に受け取る余裕がありません。 だから、否定的な意味だけが残ってしまう。

そして、子どもはさらに動かなくなり、お母さんはさらに焦り、声は強くなり――この循環が、家庭から笑顔を奪っていきます。

この状態の子どもにアクセルを踏ませ続けると、エンジン(心)は壊れます。最悪の場合、学校にすら行けなくなる「不登校」や「受験うつ」の引き金になりかねません。


一番大切なこと、ひとつだけ

今日、この記事でお母さんにお伝えしたい一番大切なことは、これだけです。

「勉強しなさい」で動けないのは、やる気の問題ではない。エネルギーとキャパシティの問題かもしれない。

この視点に立つだけで、お母さんの選択肢は一気に広がります。


では、何から始めればいいのか――今夜からできる3つの一歩

ここから先は、現場で実際にお母さんたちと一緒に取り組んできて、確かな効果のあった3つの最初の一歩をご紹介します。

1.「叱る」より先に、「眠れているか」を見る

睡眠時間が6時間を切っている子どもは、どんな声かけをしてもエネルギーは戻りません。 まずは塾の宿題を一部削ってでも、7時間以上の睡眠を確保すること。 これが、すべての出発点です。

2. 宿題を「全部やる」前提を、いったん手放す

偏差値50前後のお子さんが、塾の宿題を全部こなすのは、現実的にとても難しい設計になっています。 宿題が10ページあるなら、「今日はこの3ページだけでいい。残りはやらなくていい」と、親の側から勇気を持って「捨てる」決断をしてください。

「でも、宿題をやらないと成績が下がるのでは…」と不安になるお気持ちは、痛いほどわかります。 しかし、心がフリーズした状態で机に何時間座っていても、頭には一切入っていません。 それよりも、確実にできる分量だけをやり遂げ、「できた!」という小さな成功体験を積ませることの方が、はるかに子どものエネルギーを回復させます。

3.「勉強しなさい」を、「今日はどんな日だった?」に置き換える

子どもが本音を話せる時間は、勉強の話の前にしか作れません。 1日5分でいいので、「成績の話をしない時間」を意識して持ってみてください。 そこから、子ども自身の言葉でやる気が戻り始めることが、本当に多いのです。


お母さん自身の心も、置き去りにしないでください

子どものことで頭がいっぱいになって、お母さん自身が、もう何ヶ月も「自分の気持ち」と向き合えていない――そんな状態ではないでしょうか。

中学受験は、お子さんだけの戦いではありません。 お母さんが倒れないことも、立派な戦略のひとつです。

そして、ここまで読んでいただいて、もう一つお伝えしたいことがあります。

この見極めを、親御さんお一人でやるのは、本当に難しいのです。

なぜなら、親にはどうしても「期待」があり、「宿題は全部やるべき」という「正しさ」の価値観があるからです。我が子のこととなると、客観的に「どこまでならできるのか」「これは甘えなのか、SOSのサインなのか」を見極めることは、近すぎるからこそ難しい。

もし今、

  • どこまで宿題を削っていいかわからない
  • 塾を続けるか、変えるか、減らすか迷っている
  • 子どもに何と声をかければいいのかわからない
  • 自分の気持ちを整理する相手がいない

このようなことで一人で抱えていらっしゃるなら、一度、私とお話ししませんか。

私はこれまで31年以上にわたり、中学受験の重圧に苦しむ子どもたちや、不登校の子どもたち、そしてそのお母さんたちの心に寄り添い、具体的な解決策を一緒に見つけてきました。 お子さんの今の状態が「少し休ませるべきサイン」なのか、「声かけの工夫で乗り越えられる壁」なのか。それを客観的に整理し、ご家庭で今夜からできる一歩を一緒に決めていく時間です。

売り込むためではありません。 お母さんの状況を落ち着いて見直すための場として、ご利用ください。

5月は、あと数枠のみのご案内となります。

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今日のお話と深くつながる記事を一つご紹介します。多くのお母さんから「読んでよかった」とお声をいただいた一本です。

▶ 子どもが本当に望んでいる親のサポートとは?

お母さんが、今日少しでも肩の力を抜いて眠れますように。

最後までお読みいただきありがとうございました。

どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。

ー中学受験と不登校(1025)ー

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