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【まとめ記事 後編】私立中学での不登校 「戻す」ことを手放したとき、動き始めるもの

目次

「戻す」ことを手放したとき、動き始めるもの

今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

感謝申し上げます。


このシリーズの前半では、せっかく合格された私立中学校で、お子さんの表情が少しずつ曇り、やがて通えなくなっていく日々を見つめてまいりました。

そして、私立中学だから不登校になったとは必ずしも言えないこと、何よりも先に、家庭を安心できる場所にしていただきたいことをお伝えしました。

後半では、多くのお母さんが最初に願われる「復帰」というテーマに、正面から向き合ってまいります。

ここまで読んでくださった方も、後半から読み始めてくださった方も、この一記事で流れがつかめるようにまとめました。少し長くなりますが、どうぞお付き合いください。

第6話 「私立中学だったから」ではないのです

ご相談をお受けしていますと、お母さんはご自分を責められます。

「あの学校に入れてしまったから」「公立だったら、こんなことにはならなかったのに」と。


そのお気持ちは、本当によく分かります。

ただ、もし学習の遅れだけが原因であれば、遅れを取り戻せば元気になるはずなのです。

けれども、現実はそうではないことが本当に多いのです。


ということは、お子さんは公立に進まれていたとしても、何らかの形で足を止めていたのかもしれません。

学校という集団で過ごす場そのものが、今のこの子には少ししんどくなっている。

それは私立でも公立でも変わらないのです。


だからこそ、原因を探すことよりも先に、家庭を評価も比較もされない場所にしていただきたいのです。

お母さんがご自分を責めれば責めるほど、お子さんは「自分のせいでお母さんを苦しめている」と、新しい荷物を背負ってしまいます。

まず、お母さんご自身を、そっと労ってあげてください。

第7話 私立中学への復帰は、なぜこれほど難しいのか

難関校に合格されたご家庭ほど、「何としても戻したい」というお気持ちは強くなられます。

もちろん、その願いは痛いほど分かります。

ただ、私は最初に、必ずこうお伝えしています。

私立中学への復帰は、正直なところ、とても高い壁なのです、と。


理由は、いくつかあります。

私立の学習スピードは公立とは比べものにならないほど速いこと。

公立では増えてきた別室登校やオンライン授業といった細やかな配慮が、私立では原則として期待しにくいこと。

そして、自ら望んで入学した以上、通うことが大前提だという、私立側の立場があることです。

それでも、この高い壁を越えて復帰していかれたご家庭には、ひとつの共通点がありました。

それは、お母さんが「戻ってほしい」という願いを、いったん横に置かれた時期があった、ということなのです。


強く願っているからこそ、その願いをあえて手放す。


不思議に思われるかもしれませんが、これが本当に大切なのです。

お母さんが「行きなさい」と言うのをやめ、お子さんのため息や、ふと漏らした一言に静かに耳を澄まされる。

その時間の中で、お子さんの心に、もう一度立ち上がる小さな力が育っていくのです。

第8話 復帰できた子どもに共通していた、四つのこと

まれなことではありますが、復帰していかれた子どもたちには、確かに共通していたことが四つありました。

一つ目は、それでも学校に通いたいという、本人の中から出てきた意志です。

二つ目は、学習の遅れから目を背けず、分からなくなったところまで戻ってやり直せること。

これは勉強の話というより、今の自分をそのまま受け入れるという、とても勇気のいることなのです。

三つ目は、焦らず、無理をしないこと。

四つ目は、勉強だけが理由ではないと、本人が分かっていることです。

そしてお母さんに知っておいていただきたいのは、お子さんが今どの段階にいるか、ということです。

心と体を休める時期、気持ちが揺れながら少しずつ言葉になってくる時期、そして「戻りたい」という思いがはっきりしてくる時期。

この順番が逆になって、休んでいる時期に「どうしたいの」と問い詰めてしまうと、お子さんはプレッシャーで折れてしまいます。

もし四つのことが今は見えなくても、どうか悲観しないでください。

それはお子さんが弱いからではありません。

合格した学校に戻ることだけが、この子の未来を守る唯一の道ではないのです。

第9話 たった一言が、その後を分けてしまうことがあります

四つのことがそろっても、まだ乗り越えるべき壁があります。

学習の遅れを取り戻すことです。

復帰後の速い授業についていくには、同級生に追いつくだけでは足りず、さらに先まで進めておかなければなりません。

ただでさえ疲れている時期に、これをこなすのは並大抵のことではないのです。


そして、それを越えても、最後に残るのはご家族の覚悟です。


想像を絶する努力の末にようやく復帰したお子さんに、少し時間が経ってから、悪気なく、こう口にしてしまうことがあります。「せっかく戻れたのだから、もう少しがんばったら」と。

お母さんに悪気はないのです。将来を思えば、つい焦ってしまうのも仕方のないことだと思います。

ただ、この一言だけで、ようやく復帰できた子が、再び通えなくなってしまったことがありました。

そのときお子さんは、テストの点数を責められたと感じたのではありません。

「これだけがんばって戻ってきた自分を、まだ認めてもらえていない」と、そう受け取ってしまったのではないかと思うのです。

点数や態度という目に見える部分だけで判断をなさらず、その奥で震えている、まだ言葉にならない想いに、そっと心を寄せていただきたいのです。

ですから、六つ目に必要なことは、ご家族が「もう戻れただけで十分」と、心から応援するだけ、ということになります。

成績はギリギリでもいい、笑顔で通えているならそれでいい。

そう心から思えないのであれば、はじめから復帰を望まないほうが、結果的にお子さんの心を守ることになるのです。

第10話 「元気でいてくれたら十分」と思える日まで

最終回では、明日の朝から実際にできることまで、踏み込んでお話ししました。

起きてこなくても、扉越しに「おはよう」とだけ声に出すこと。

「学校つらい」と言われたら、「つらいんだね」と、言い換えずにそのまま返すこと。

学校と勉強以外の話題を、一日にひとつ用意すること。どれも小さなことです。

ただ、その小さな積み重ねが、お子さんに「あなたはここにいていい」という合図になっていくのです。

制度の面でも、進級ができるのか、別室登校は可能か、休学という制度はあるか、そうしたことを、感情を交えず早めに学校へ確認しておかれると、お母さんの心の余裕につながります。

転学や通信制という選択も、決して負けではありません。

この学校でなければ、という思いからご家族が自由になれたとき、お子さんも自由になれることが本当に多いのです。

多くのご家庭を見せていただいて感じるのは、ご家族の表情がふっと和らぐ瞬間が、必ず訪れるということです。

それはお子さんが復帰したときとは限りません。

むしろ、「この子が、ただ生きていてくれるだけで、どれほどありがたいか」と心から思えた瞬間に訪れます。

そして、ご家族のその空気が整ったとき、お子さんのほうが少しずつ動き始めることが、本当に多いのです。


中学受験の選択は、間違いではありませんでした。

今のこの苦しい時間も、決して無駄ではありません。

お子さんという一人の人間と、これほど深く向き合う時間は、もしかしたら、なければ訪れなかったのかもしれないのです。

後半全体を貫いていた、ひとつの流れ

前半で「まず家庭を安心できる場所に」とお伝えし、後半で復帰の壁、四つのこと、六つ目の覚悟、そして「元気でいてくれたら十分」へと進んでまいりました。

この道筋には、ひとつの流れがあります。


お母さんが「戻ってほしい」という願いをいったん横に置かれたときにこそ、お子さんの心が動き始める、ということです。


復帰を目指す道も、別の場所で自分を取り戻す道も、どちらもお子さんの心が折れないことを一番に考えた先にあります。

合格した学校にこだわる気持ちからご家族が自由になれたとき、お子さんも、ふっと軽くなれるのです。


お子さんの短い言葉や、ふとしたため息の奥には、まだ形になっていない、たくさんの想いが渦巻いています。

その声にならない声に、お母さんがそっと心を寄せていかれる。

それが、遠回りのようで、いちばん確かな道なのだと、私は感じています。


ここまで読んでくださって、胸が痛くなったお母さんもいらっしゃるかもしれません。

これまでの毎日、本当にお疲れさまでした。

過去を悔やむ必要は、まったくないのです。

今日この瞬間から、まなざしを少し変えていけば、それで十分なのです。


それでも、ご自分だけで抱えるには重すぎるお気持ちもあるかと思います。

何をどうすればよいのかは、ご家庭の状況によって本当に違いますので、一般的なお話だけではお伝えしきれない部分があります。

もしよろしければ、一度お話を聞かせていただけましたら幸いです。


どうかお母さんがお一人で悩んで抱え込まないでください。


なお、この個人サイトでは「不登校のトンネルを抜ける13のヒント」というシリーズも投稿しております。

あわせてお読みいただけましたら幸いです。

最後までお読みいただきありがとうございました。

どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。

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