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私立中学での不登校(10)── 「元気でいてくれたら十分」と思える日まで

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私立中学での不登校(10)── 「元気でいてくれたら十分」と思える日まで

今日も私のブログにお越しいただきありがとうございます。

感謝申し上げます。


先日よりお伝えしてきた、私立中学校での不登校についてのシリーズも、今回が最終回となります。

せっかく合格して通っていた私立中学校で不登校になってしまい、そこから復帰できるかどうかというお話を続けてまいりました。

第1話では、合格直後から始まる小さな違和感のこと。

第2話・第3話では、学校に行きづらくなっていく過程と、ご家庭の中で起きる戸惑いのこと。

中盤では、私立中学ならではの環境のこと、勉強の遅れのこと、思春期と重なる難しさのこと。

そして前回、第9話では、私立中学に復帰するために必要な7つの条件をお伝えしました。

最終回の今日は、これまでのすべてを踏まえた上で、明日からご家庭で実際に動かせる具体的なところまで、踏み込んでお話しいたします。

■ 「7つの条件」を読んで、苦しくなったお母さまへ

私立中学に復帰したいと本気で思うのであれば、少なくても7つのことが必要だと感じています。

それは、これまでの子ども達との日々から学ばせていただいたことです。

1)どんなに辛くても、学校に通う方がやはり良いと感じる
2)勉強を嫌がらない
3)冷静で決して無理をしない
4)勉強だけでは、復帰できないことを自覚している

この4つに加えて、

5)勉強の遅れを取り戻す
6)ご家族が学校復帰をあきらめるくらいの覚悟を持つ
7)ご家族は、もう学校に復帰しただけで十分と、心から応援するだけ

この3つが必要だとお話ししました。

これだけの覚悟をもって努力をしても、辛くて学校を去った子ども達もいます。

それは、本当に苦しい決断だったと思います。


書きながら、私自身、胸が痛みました。

中途半端な希望をお伝えして、ご家族全員がさらに消耗していくことを、私はもう何度も見てまいりました。

だからこそ、もちろん厳しい内容だとわかった上で、書かせていただいたのです。

■ 子ども達が口にした、共通の言葉

「どうして、そこまでして戻りたいの」

そう尋ねると、表現はそれぞれ違っても、共通する答えが返ってきます。

「これしか、自分を保てるものがないから」
「これしかないから」
「これしか、自分の気持ちを維持できるものがないから」

小学生時代に、遊びたいことも我慢し、何とか合格できた学校に通えなくなったら、自分は何のために努力を続けたのか分からなくなってしまうのです。

自分という存在が、揺らいでしまうのです。

でも、その一方で、こうも言うのです。

「教室に入るのが、本当に怖い」

「みんなが自分をどう見ているか、考えるだけで動けなくなる」


不安で不安で仕方がない。

それでも、自分のアイデンティティーを守るために、戻りたい。

この矛盾の中で、子ども達はずっと苦しんでいるのです。

■ 言葉の表面だけを聞いていると、見えなくなるもの

「学校に戻りたい」

お子さんが、そうおっしゃることがあるかもしれません。

ただ、その「戻りたい」の奥には、こんな気持ちが隠れているかもしれません。

「戻れない自分が、許せない」
「お母さんを、もうこれ以上がっかりさせたくない」

ということは、子どもは「戻りたい」と言葉では言いながらも、その奥では「今の自分を認めてほしい」と叫んでいるのかもしれません。

お子さんがぽつりとつぶやいた一言、ふと漏らしたため息、夜中に部屋から聞こえる小さな物音。

そういうものに、お母さまがそっと心を寄せていかれると、ある日ふと、お子さんが本当に伝えたかったことが見えてくる瞬間があります。

その瞬間こそが、ご家族にとっての本当の転機になります。

■ 明日から、お母さまが意識していただきたい7つの行動

ここから先は、抽象論ではなく、明日の朝から実際にお試しいただける具体的な行動です。

完璧にやろうとせず、できそうなものを1つだけ選んでください。

1)朝、起きてこなくても「おはよう」だけは扉越しに声に出す
返事がなくても構いません。「あなたを今日も認めています」という合図になります。

2)一日に一度だけ、お子さんの言葉を「言い換えずに」繰り返す
「学校つらい」と言われたら、「つらいんだね」と返すだけ。解釈も助言も要りません。

3)「学校」「勉強」以外の話題を、一日一つ用意する
天気、ペット、テレビ、夕飯の献立。何でも構いません。

4)スマホやゲームの時間を、まず咎めない
それが今、その子の命綱になっている可能性があります。取り上げる議論は、回復してからで間に合います。

5)夜、お子さんが寝た後に、ご自分の気持ちを紙に書き出す
「私は今、何が怖いのか」「私は何を期待していたのか」。書くことで、混乱が少しほどけます。

6)お父さまと、週に一度は5分だけお子さんの話をする時間を持つ
内容ではなく、共有していること自体が大切です。

7)ご自分のための時間を、一日10分でも確保する
お茶でも散歩でも構いません。お母さまの呼吸が、家の空気を作ります。

■ 焦った時の、ご自身への確認チェックリスト

「もう待てない」「このままで本当にいいのか」

そう感じた夜は、次の項目をご自分に問いかけてみてください。

□ 今日、お子さんの顔を一度でも、笑顔で見られたか
□ 「学校」「勉強」以外の話題で、会話が成り立ったか
□ お母さま自身、今週どこかでホッとできた時間があったか
□ ご家族(特に父親)と、お子さんの状況を共有できているか
□ 相談できる外部の窓口を、一つでも確保できているか
□ お子さんの睡眠、食事に、医療的に気になる変化はないか
□ お母さま自身が、夜眠れているか

これは、ご自分を採点するためのものではありません。

「足りていないところ」が見つかったら、そこから一つだけ動かしていただければ十分なのです。

■ ご家族全体で支えるという視点

不登校は、お子さん一人の問題でも、お母さま一人の問題でもありません。

ご家族というシステム全体で起きていることなのです。

【お父さまとの関係】
多くのご家庭で、お父さまとお母さまの間に「温度差」が生まれます。

お父さまは「甘えだ」「もっと厳しくしろ」とおっしゃり、お母さまが板挟みになる。これは本当によくあるご相談です。

ただ、お父さまも、決してお子さんを愛していないわけではありません。

「どう関わればいいかわからない」「自分の関わり方では事態が悪化するのが怖い」というご不安が、強い言葉になって出てきていることが多いのです。

まずは、お父さまと「お子さんをどうするか」ではなく、「お父さま自身が今、何を感じているか」を話す時間を持っていただきたいのです。

方針の一致は、その後で構いません。

【ごきょうだいへの配慮】
不登校のお子さんに家族の注目が集中すると、ごきょうだいが「自分は我慢しなければ」と感じてしまうことがあります。

「あなたのことも、ちゃんと見ているよ」というメッセージを、意識的に伝えてあげてください。

【ご祖父母との距離】
「昔はそんな子はいなかった」「もっと厳しくすればいい」というお声に、お母さまが傷つかれることもあります。

すべてを理解していただこうとせず、「専門家に相談しながら進めている」と一言お伝えするだけで、距離を保てます。

■ 私立中学だからこそ、知っておいていただきたい制度面の現実

情緒的なお話だけでは、現実は動きません。

私立中学の不登校には、公立とは異なる制度上の現実があります。

事務的な確認は、感情を交えず早めに学校と行っておくことが大切なのです。

【出席日数と進級】
私立中学の進級判定は、学校ごとに基準が大きく異なります。

出席日数が一定数を下回ると進級が難しくなる学校もあれば、定期試験で一定の点数を取れば配慮される学校もあります。

担任、学年主任、教頭先生のいずれかに、できるだけ早く「現状で進級は可能か」を率直に確認してください。

【別室登校・保健室登校】
教室に入れなくても、別室で過ごすことを出席として認める学校は、私立でも増えています。

「教室に入れない=不登校」ではないのです。

学校側から提案がなくても、お母さまから「別室登校は可能でしょうか」と尋ねていただいて構いません。

【休学制度】
進級が難しいと判断される前に、休学制度の有無を確認してください。

1年休学して、同じ学年からやり直せる学校もあります。

お子さんは休学して、一学年下の子どもと共に学ぶことは嫌がることもあります。

でも、お子さんが「やってみたい」という可能性もありますから、確認しておかれると良いと思います。

休学は「逃げ」ではなく、お子さんが回復のために時間を確保する正当な制度です。

【転学という選択肢】
公立中学への転学、通信制中学、フリースクール、サポート校への移行は、決して「負け」ではありません。

合格した学校にこだわるあまり、お子さんの心が壊れてしまっては、本末転倒です。

「この学校でなければ」という呪縛から、ご家族が自由になれた時に、お子さんも自由になれることが本当に多いのです。

【スクールカウンセラー】
私立中学にもスクールカウンセラーは配置されています。

お子さんが会わなくても、お母さまだけのご相談が可能です。

学校内部の方なので、学校側との橋渡しもしてくださることがあります。

■ 外部の支援資源を、一つでも繋いでおく

お母さまお一人で抱え込まないために、知っておいていただきたい支援資源を整理します。

選択肢を広げることが、心の余裕を生むのです。

【公的な相談窓口】
・各都道府県の教育センター、教育相談窓口
・市区町村の教育委員会の相談窓口
・適応指導教室(教育支援センター)
・児童相談所(虐待対応だけではなく、子育て全般の相談が可能です)

【医療機関】
・児童精神科、思春期外来
・心療内科

特に、長期にわたる不眠、食欲不振、強い気分の落ち込み、自傷を疑わせる兆候がある場合は、迷わず医療機関にご相談ください。

受診すること自体が、ご家族の重荷を軽くしてくれます。


【民間の支援】
・フリースクール
・通信制サポート校
・不登校の親の会
・私のような個別相談

すべてに繋がる必要はありません。

ただ、「いざという時に連絡できる先」を一つでも持っておくことが、夜の眠りを変えます。

■ 「元気でいてくれたら十分」と思える日

シリーズの締めくくりに、どうしてもお伝えしたい言葉があります。

それは、「元気でいてくれたら十分」と、心の底から思える日が、必ず来るということです。

多くのご家庭を見させていただいた中で、ある時期から、ご家族の表情がふっと和らぐ瞬間があります。

それは、お子さんが復帰した時とは限りません。

むしろ、ご家族が「この子が、ただ生きていてくれることが、どれほどありがたいことか」と心から思えた瞬間に、訪れることが多いのです。

そして、ご家族のそういう空気が整った時、お子さんの方が少しずつ動き始めることが、本当に多いのです。

それは「あきらめ」ではありません。

お子さんの存在そのものを、もう一度受け止め直すということなのです。

■ 中学受験の本当の意味を、もう一度

中学受験は、合格がゴールではありません。

合格した中学に通い続けることだけが、成功でもありません。

ということは、これから中学受験をされるご家庭にお伝えしたいのは、なぜその学校なのか、どんな6年間を過ごしたいのかを、合格そのものよりも、ご家族でしっかり話し合っていただきたいということなのです。

そして、すでに私立中学で不登校になってしまったお子さんを持つお母さまには、こうお伝えしたいと思います。

中学受験の選択は、間違いではありませんでした。

今、この苦しい時間も、無駄ではありません。

ご家族で、お子さんという一人の人間と、これほど深く向き合う時間は、もしかしたら、不登校がなければ訪れなかったかもしれません。

それは、本当に貴重な時間なのです。

■ シリーズを終えるにあたって

全10話、長い旅にお付き合いくださり、ありがとうございました。

このシリーズが、お母さまの孤独な夜を、ほんの少しでも温めることができたなら、これに勝る喜びはありません。


私立中学という特殊な環境での不登校は、周りに理解されにくく、どうしても孤立してしまいがちです。

学校との交渉、ご家族での話し合い、外部支援の選び方、そして何より、お母さまご自身のお気持ちの整理。

お一人で悩んでいらっしゃるよりも、誰かと一緒に整理する方が、必ず見えてくるものがあります。


どうぞ、一人で悩まないで、ご相談ください。

お子さんのこれからを、ご家族のこれからを、ご一緒に考えさせていただければと思います。

また、この私の個人サイトでは、「不登校のトンネルを抜ける13のヒント」というシリーズも投稿しております。

ぜひ、あわせてお読みください。

不登校のトンネルを抜ける13のヒント 第1回 「不登校」夫婦の温度差に苦しむあなたへ 


最後までお読みいただきありがとうございました。

どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。

6月限定 初回30分無料相談を承っております。 どうか、一人で悩んで抱え込むことはしないでください。

▶ 個別相談のご案内はこちら https://ktani.info/consultation/

この記事は、不登校と中学受験(666)を加筆・修正したものです。

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