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不登校のトンネルを抜ける13のヒント 第6回

目次

発達特性か、トラウマか、それとも両方か――不登校の見立てを間違えないために

今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

感謝申し上げます。


子どもが学校に行けなくなったとき、多くのお母さんが、まず「何がきっかけだったのか」を探し始めます。

いじめがあったのではないか。
先生と合わなかったのではないか。
友だちとの間で、傷つくことがあったのではないか。
受験や勉強で、無理をさせすぎてしまったのではないか。

そうやって原因をたどっていくうちに、最後にたどり着いてしまうのが、「私の育て方が、いけなかったのかもしれない」という、ご自分を責める思いだったりします。

ですが、どうか、ご自分を責めないでいただきたいのです。本当に、お母さんのせいではありません。

不登校の背景は、たいてい一つの理由では説明がつきません。

今日は、「発達特性なのか、それとも心の傷なのか」という、多くのお母さんが迷われるところを、一緒に整理していけたらと思います。

はじめに、ひとつだけお伝えしておきたいこと

これからの話に入る前に、どうしても先にお伝えしておきたいことがあります。

ほとんどの不登校は、時間をかけて、少しずつ回復していきます。あわてる必要はありません。

ただ、次のような様子が見られるときだけは、家庭での見守りよりも先に、医療機関や専門家の力を借りていただきたいのです。

これは、お母さん一人で抱える領域ではなく、専門家と一緒に守るべきサインだからです。

・「消えたい」「いなくなりたい」という言葉が出る。自分を傷つける行為がある。
・一日中ほとんど動けず、表情や反応が長く失われている。
・食事や睡眠が大きく崩れた状態が、二週間以上続いている。
・頭痛や腹痛、吐き気などの身体症状が強く、生活が立ち行かない。

これらは、気合いで乗り越えるものではありません。

小児科、児童精神科、スクールカウンセラー、地域の相談窓口。どこか一つに早めにつながることが、子どもとお母さんの両方を守ります。

「発達特性がある」ことと、「問題のある子」であることは違います

まず、知っておいていただきたいことがあります。

発達特性のある子を、「問題のある子」と見る必要は、まったくないということです。


発達特性とは、その子の感じ方や、受け取り方、反応の仕方に、少し特徴があるということです。

それ自体が、悪いわけではありません。

ただ、学校という環境と合いにくい部分があるために、強い負担が生まれることがあるのです。


学校は、一見すると誰にとっても同じルールで動いているように見えます。

同じ時間割で、同じ教室で、集団に合わせて動く。

その「当たり前」が、多くの子にはなんとかこなせるものでも、ある子にとっては、とても大きな負荷になります。


たとえば、教室のざわざわした音や光がつらい。
指示があいまいだと動けない。
予定変更があると頭が真っ白になる。
休み時間の人間関係の読み合いで消耗する。
完璧にやろうとして、疲れ切ってしまう。


こうした負担は、外からはなかなか見えません。

そして厄介なのは、本人自身が「自分だけがこんなにしんどいのは、おかしい」と感じて、自分を責めやすいことです。


そして、その出方は、年齢やタイプによっても、ずいぶん違います。

小学校高学年くらいだと、まだうまく言葉にできず、「お腹が痛い」「行きたくない」といった、身体や行動でSOSが出やすい時期です。

中学生になると、言葉にできる分、「うざい」「別に」といった反発や、沈黙、自分の部屋にこもる、という形で出ることがあります。

これは反抗ではなく、消耗のサインのこともあるのです。


気を遣って本音を隠す「良い子」タイプもいれば、八つ当たりや過剰な頑張りで出すタイプもいます。

同じサインでも、この子はどう出しているのか。そこを見てあげることが大切だと思います。

「傷ついたから」と「もともと合いにくかった」は、地続きで重なっています

お母さんは、原因を一つに絞りたくなるものです。

いじめが原因だったのか。

先生だったのか。

発達特性だったのか。

でも実際には、こうしたものは一つではなく、いくつも重なっていることが、本当に多いのです。


もともと集団が少し苦手で、予定変更にも弱く、人にも気を遣いすぎる子がいたとします。

でも、本人はがんばって学校に合わせてきた。

周りから見れば、問題なく通えているように見えたかもしれません。


そこに、友人関係のもつれや、先生のきつい言葉や、成績のプレッシャーが重なる。

ちょうど、すでに荷物をいっぱい積んだトラックに、さらに荷物が積まれていくように。

ある日、急に動けなくなることがあります。


ですから、「発達特性が原因」とも言い切れませんし、「ただ傷ついただけ」とも言い切れないのです。

合いにくい土台があり、そこで無理を重ね、傷つきが積み重なった結果として、動けなくなっている。そう考えたほうが、実態に近いことがあります。

ときには、順番が逆のこともあります。

先に強い傷つきがあって、そのあとから、まるで特性のように見える反応が強まってくる。

そういうことも、必ずしも珍しくないのです。

安易に「ラベル」を貼ると、二つの見落としが起きます

発達特性という言葉を知ると、少し説明がつく感じがして、ほっとされるお母さんもいます。

それ自体は、悪いことではありません。


ただ、早すぎる決めつけには、二つの落とし穴があります。


一つは、「この子は発達だから仕方がない」と早く決めてしまうと、今まさに学校で傷ついている、その心のケアが置き去りになってしまうこと。

もう一つは、「ただの一時的な心の問題」と捉えすぎると、もともとの環境とのミスマッチが手つかずのまま残り、せっかく動き出したあとに、また止まってしまうことがあること。

見立てのゴールは、正しい名前を早く貼ることではありません。

この子が今、どこで苦しみ、何に怯えているのかを、丁寧に見ていくことなのです。

家庭で見ておきたいのは、「名前」ではなく「負担の出方」です

ここで、家庭でできる「観察のものさし」をお伝えします。

その前に、ひとつだけ。

これからお伝えするのは、診断のためのチェックではありません。

「当てはまる=発達特性がある」という意味でもありません。

あくまで、この子がどんな場面でしんどくなりやすいかを、お母さんが温かく見ていくための、ものさしです。

・何に強く疲れるのか。
・どんな場面で、固まりやすいのか。
・曖昧な指示と、具体的な指示で、反応が違うか。
・一対一では落ち着くのに、集団になると崩れやすいか。
・音や光、におい、触感などへの敏感さがあるか。
・完璧にやろうとして、止まりやすいか。
・切り替えや予定変更に、どのくらい負担があるか。
・興味の偏りや、過集中が強いか。


項目に多く当てはまっても、どうか「やっぱりこの子は」と、一人で結論を急がないでください。

これは原因を特定する道具ではなく、のちに誰かと話すときに役立つ、「気づきのメモ」です。判断するのは、お母さん一人の仕事ではありません。

そして、もしできれば、気づいたことを一週間か二週間、そっと書きとめてみてください。

完璧な記録はいりません。

スマホのメモで十分です。

「いつ」「どんな場面で」「どうなったか」。事実だけで大丈夫です。


このメモは、のちに医療機関や相談の場で、何より具体的な手がかりになります。

言葉でうまく説明できなくても、このメモが、お母さんの代わりに状況を伝えてくれます。


ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

「観察してみよう」と思っても、いざとなると、何をどう書きとめればいいのか、迷ってしまうかもしれません。

それは、ごく自然なことだと思います。

そこで、お母さんが気づいたことを、そのまま書きとめていただけるように、一枚のノートを用意しました。

難しいことは何もありません。気づいたときに、ほんの少し書き足すだけのものです。

うまく書けなくても、空欄が多くても、まったく問題ありません。

このノートは、お母さんを採点するためのものではないからです。

ただ、この子のことを、少し離れたところからそっと眺めるための、小さな手元の道具だと思っていただけたらと思います。

書きとめたものは、いつかどこかで誰かに相談されるとき、言葉にならない部分を、代わりに伝えてくれるはずです。

どうぞ、ご負担のない範囲で、お使いください。

※印刷して手元に置いても、画面で眺めるだけでも大丈夫です。一人で抱え込まず、まずは気づいたことを一つ、書きとめるところから。


お母さん一人で、見立てなくていいのです


このテーマは、家庭の中だけで考えていると、迷いが深くなりやすいものです。

ご家庭の中でも、お父さんとお母さんで、子どもの見え方がずれることがあります。

「甘えだ」「気のせいだ」と片づけられると、お母さんはさらに孤立してしまいます。

そんなときこそ、「原因」をめぐって言い合うのではなく、観察した「事実」を共有することから始めてみてください。

事実であれば、対立せずに、認識を合わせやすくなります。


学校に伝えるときも同じです。

「うちの子は発達かもしれません」と伝えるより、「こういう場面で負担が大きいようなので、こんな配慮をお願いできませんか」と、具体的な事実でお願いするほうが、ずっと配慮につながりやすくなります。

医療や相談の場は、お母さんをジャッジする場所ではありません。

一緒に見立てを考える、伴走者です。

一人で背負ってきた重さを、少し預けていい相手なのだと思っていただけたらと思います。

学校に戻すことだけを急ぐと、この子の現在地を見失います

最後に、ひとつだけ。

「とにかく学校に戻す」を最優先にしてしまうと、この子の見立てを、間違えやすくなります。

戻れるかどうかだけで、状態を判断してしまうからです。

でも実際には、「学校に戻れない」のではなく、「今の学校が、この子に合っていない」だけのことも、少なくありません。

見立てが変われば、支え方も変わります。

「どうしたら元の形に戻せるか」ではなく、「この子は、どんな環境なら少し楽に過ごせるのか」という問いに変わっていく。

この視点の違いは、本当に大きいのです。


子どもの言葉や態度の、その奥にある想い。

それは、すぐには見えないかもしれません。

でも、急がず、一つずつ眺めていけば、必ず少しずつ見えてきます。


お悩みの方は、個人的にご相談ください。

書きとめていただいたメモを、そっと一緒に眺めるところから、ゆっくり始めていけたらと思います。


▼あわせて読んでいただきたい記事 「発達障がいの子どもの不登校(2)」  https://note.com/keisuke_tani/n/n775fe7f92f44

最後までお読みいただきありがとうございました。

どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。

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