私立中学での不登校(6)~私立中学だったから、ではないのです~
今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。感謝申し上げます。
私立中学校に合格されて、新しい制服に身を包んで校門をくぐったあの日から、少しずつ表情が曇り、やがて通えなくなってしまったお子さんのことを、今日も静かに考えています。
頑張って受験を乗り越えたからこその重圧。
進度の早い授業、課題の量、周囲の優秀なお友達との比較…。
「自分はダメな人間なのだ」と自己肯定感をすり減らしてしまうしんどさは、確かに私立中学に特有のものです。
ただ、今日はお母様に、あえてもう一歩踏み込んだお話をさせてください。
1. 「私立中学だから不登校になった」のでしょうか?
ご相談をお受けしていると、お母様方はよくご自身を責められます。
「あの中学に入れてしまったから」「公立に行っていれば…」と。
しかし、私は「私立中学だから不登校になった」とは必ずしも言えないと考えています。
もし「学習の遅れ」だけが原因であれば、学習を取り戻せば自己肯定感も回復し、問題は解決するはずです。
しかし、現実はそうではないことが本当に多いのです。
厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、お子さんは「公立中学に進まれていたとしても、何らかの形で壁にぶつかり、同じように足を止めていた可能性」があります。
2. 学校というシステムそのものとの「ズレ」
「学校に行かないこと」そのものが問題なのではありません。
「学校という集団生活の場そのものが、今のこのお子さんには合っていない(限界を迎えている)」ということなのです。
これは私立であろうと公立であろうと変わりません。
表面的な「原因探し(いじめ、先生との相性、親の一言)」をしても、答えは出てきません。
仮に原因を解決しても、登校できるようになるとは限らないのです。
お子さんの「学校がつまらない」という言葉や、イライラした態度の裏側には、「行かなくちゃいけないのに、体が動かない」「高い学費を払ってくれているお母さんに申し訳ない」という、声にならないギリギリの感情が渦巻いています。
3. 最優先すべきは、家庭を「心の安全基地」にすること
学校に戻ることを考える前に、何よりも大切にしていただきたい優先順位があります。
- 【現実の壁】:実は、ご相談をお受けする約8割のお子さんが、一番身近なお母様を悲しませたくないという優しさゆえに、本音(「助けて」「辛い」)を言えずに苦しんでいます。
- 【目指すべき状態】:まずは、家庭を「評価も比較もされない、ただそこにいるだけで許される安心・安全の場」にすることです。
- 【正しい順番】:「学校に戻すこと」をいったん横に置いてください。心が回復し、本人が「もう一度行ってみようかな」と望んだときにしか、復帰は現実的ではないからです。
もし今、眠れない夜を過ごされているお母様がいらっしゃいましたら、どうぞ一人で悩まないでください。何が正解か、なんてものはありません。お話を伺わせていただくだけでも、見えてくるものが変わってきます。個別相談では、お一人おひとりのご状況に合わせて、ゆっくりとお話を伺わせていただいております。
お母様がご自分を責めれば責めるほど、お子さんは「自分のせいで苦しめている」と新たな荷物を背負ってしまいます。
お母様がまず、ご自分を労ってあげてください。
そして、お子さんのそばに、ただいてあげてください。
それだけで、十分なのです。
本当に、それだけで十分なのです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。
次回:第7話 ── 私立中学への復帰は、なぜ難しいのか
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この記事は、中学受験と不登校(662)を加筆・修正したものです。
