私立中学での不登校(2)──合格後に待ち受ける「終わらない競争」
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過酷な中学受験を乗り越え、せっかく合格された私立中学校に通えなくなってしまう。
お子さんにとっても、ご家族にとっても、これほど辛く苦しいことはありません。
前回は、私立中学独自の教育方針やシステムに対して、入学後に「決定的にあわないことがある」というお話をさせていただきました。
今回はもう一歩踏み込んで、「学校システムそのものが抱える構造的な問題」を考えてまいります。
「学力がそろっている」ことの本当の意味
どのような私立中学校でも、入試というフィルターがある以上、入学してくる子ども達の学力は一定の幅にきれいにそろっています。
これは、さまざまな学力層が混在していた公立小学校とは、まったく違う環境です。
最初からある一定以上の学力を持つ子ども達「しか」いない空間に身を置くことになります。
この事実が何を意味するのか──受験を控えているご家族には、事前によくよくお考えいただきたいのです。
全員が同じくらいの学力ということは、
- みんなと同じ質・量の学習をこなしているだけでは、決して上位にはいけない
- 他の子ども達より少しでもペースが落ちれば、確実に順位は後ろに沈む
これまでの「普通にやっていれば上位」だった世界とは、まったく違う構造なのです。
「合格したら思いきり遊べるから」という声かけの罠
中学受験の大手進学塾に通わせているご家庭で、よく耳にする言葉があります。
「合格したら、思いきり遊べるから、今だけ頑張りなさい」
受験勉強を嫌がるお子さんを、なんとか机に向かわせたい一心で、つい口にされるのだと思います。
けれども厳しい言い方になりますが、この言葉は本当に危ういものです。
このような声かけで受験を乗り切った子どもは、間違いなく合格した途端に燃え尽き、勉強しなくなります。
その結果、学力レベルが拮抗している私立中学のなかで、あっという間に順位は下位へ転落していきます。
目の前の受験勉強のためであっても、この「いい加減なひと言」だけは、決しておっしゃらないことを、これから受験されるご家族には強くお勧めいたします。
定期テストでつまずくと、登校が苦しくなる
入学後に勉強しなくなれば、定期テストの点数は当然下がります。
すると、学校に行くのがどんどん嫌になってきます。
ましてその私立中学が第二志望・第三志望であった場合、「ここは本当に行きたかった学校ではない」という気持ちも重なり、登校はさらに苦しくなります。
合格は、ゴールではなく「競争のスタート」
合格するということは、ゴールではありません。
学力がそろった集団のなかで、これからさらに高度な「競争をしていく」というスタート地点に立ったに過ぎないのです。
特に、大学合格実績を前面に出して生徒募集をしている私立6年一貫校では、入学と同時に、これまで以上に厳しい競争のなかに放り込まれます。
中学受験塾の時代から、ずっと競争を強いられてきました。
そのうえ、入学後もプレッシャーをかけられ、全力疾走を求められ続けるのです。
心のエネルギーが枯渇し、いつか、どこかでポキッと折れてしまう子が出てくるのは、ある意味で当然のことだと、私は理解しております。
私が「安易な中学受験」に反対する理由
こうしたことが起こり得ると想像できないままに進める中学受験には、私ははっきりと反対の立場です。
なぜなら、ご家族にそこまでの責任を負う覚悟が伴っていないからです。
「こんなはずじゃなかった」「そんなことになるとは思ってもみなかった」では済まされません。
中学受験は、たとえお子さんご本人が「受験したい」と言ったとしても、ご家族として考えておかなくてはならないことが、本当にたくさんあるのです。
ただ大学実績だけを見て受験させ、さらなる競争に放り込み、不登校になった途端に「あとは本人の問題」と切り離してしまっては、お子さんはただただ親を恨むだけになってしまいかねません。
不登校になったときの「もう一つの覚悟」
そして、もし不登校になってしまった場合、その私立中学を辞める覚悟をすることになる可能性があることも、知っておいていただきたいと思います。
今、私立中学を不登校になっているお子さんとご家族には、「辞める覚悟」だけはしておかれることを、私はお勧めしております。
実際に辞めるかどうかは、後で決めればよいのです。
ただ、ご家族の側に「いざとなれば辞めてもいい。
子どもの心を守るほうが優先だ」という覚悟がなければ、お子さんは追い詰められ、これから先の新しい道筋を一緒に考えていくことができなくなってしまいます。
具体的に「不登校になっているご家族がどう動いていくか」については、もう少し後の回でしっかりとお話しいたします。
まずは、親御さんご自身の心の中に、「辞める覚悟」だけを、そっと置いておいていただければと思います。
今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
どうぞ、今日も良い1日をお過ごしください。
次回:第3話 ──通えなくなった子ども達に、最初に何が起きているのか
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