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不登校のトンネルを抜ける13のヒント 第7回

「元の学校に戻れないと終わり」ではありません

目次

不登校の子にある多様な道

今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

感謝申し上げます。


夜、家族が寝静まったあとに、こんな問いが頭から離れなくなることはないでしょうか。

「このまま、あの学校に戻れなかったら、この子の人生は終わってしまうのではないか」と。

眠れないまま、天井を見つめて朝を迎えられたお母さんも、いらっしゃるかもしれません。


そう思ってしまうのは、仕方のないことなのです。

ここまで真剣に、お子さんの毎日と向き合ってこられたからこそ、その不安は生まれます。

今日は、その張り詰めた気持ちを少しだけほどくために、「戻る」以外にも道はいくつもあるのだ、というお話をさせてください。

「戻れないと終わり」と思わせている、見えない檻

私たちはいつのまにか、「元の学校に戻るか、さもなければすべてを失うか」という、たった二つの選択肢の中に閉じ込められてしまうことがあります。

これまで積み上げてきた時間、周囲の目、この子の将来への責任。

どれも、お母さんがお子さんを大切に思うからこそ抱える重さです。


ただ、この「戻るか、失うか」という二択は、気づかないうちにお母さんとお子さんの呼吸を浅くしてしまいます。

そして、戻ることに強くこだわればこだわるほど、皮肉なことに、お子さんが回復していくために必要な時間を奪ってしまうことがあるのです。

学校に行けないことそのものが問題なのではありません。

それは、心と体が「今はこれ以上、この場所で走り続けられない」と発している、大切なサインなのです。

これは、公立小学校、中学校でも、受験を経て入られた私立中学でも、同じです。

同じ檻に閉じ込められてしまうことは、本当に多いのです。

お子さんの方が、もっと強く縛られています

ここで、少しだけお子さんの内側に目を向けてみてください。

実は、お母さん以上に、お子さん自身が「あの学校に戻らなければ、自分には価値がない」と、自分を追い詰めていることが多いのです。

「戻りたい」とお子さんが口にすることがあるかもしれません。

ただ、その短い言葉を、そのまま受け取ってしまうと、見えなくなるものがあります。

「戻りたい」の奥には、「戻れない自分を、それでも認めてほしい」「お母さんを、これ以上悲しませたくない」という、声にならない優しさが隠れていることがあるのです。

本当は限界なのに、お母さんのために頑張ろうとして、それでも体が動かない。

その矛盾の中で、お子さんは誰よりも深く傷ついています。

ぽつりとこぼした一言や、ふと漏らしたため息に、お母さんがそっと心を寄せていかれると、ある日、本当に伝えたかったことが見えてくる瞬間があります。

別の道で、自分を取り戻していった子

ここで、これまで出会ってきた何人かの子の姿が重なる、一つの物語をお話しさせてください。

個人が特定されないよう、細かなところは変えていますが、心の動きだけは、事実、確かにあったものです。

その子は、通っていた学校にどうしても足が向かなくなり、やがて部屋からも出られなくなりました。

「もう戻れない」「自分は価値のない人間だ」と、布団にくるまって泣いていたそうです。

お母さんは最初、何とか戻そうと必死でした。

制服に袖を通そうとするものの、玄関の前で足がすくんで動けなくなる。

そんな朝が、何度も続いたそうです。

ある夜、疲れ果てたその子の寝顔を見ながら、お母さんはふと、「私は、この子の笑顔よりも、学校を守りたかったのだろうか」と気づかれたのです。

翌朝、お母さんは「行きなさい」と言うのをやめました。

「おはよう」とだけ声をかけ、その子がそこにいることを、ただ受け止めるようになりました。

すぐに何かが変わったわけではありません。

ただ、しばらくして、その子がぽつりと「散歩なら、行けるかも」と言ったそうです。

そこから、少しずつでした。自分のペースで過ごせる場所と出会い、同じように立ち止まった経験のある子たちと、静かに時間を重ねていきました。

やがてその子は、元の学校とは違う場所で、自分らしい表情を取り戻していきました。

戻る道ではなく、別の道を歩いた。

ただ、それはあきらめでも、遠回りでもなかったのです。

立ち止まっていたあの時間そのものが、その子が自分を作り直すために、本当に必要な時間だったのだと、後になって分かりました。

道は、たくさんあります

戻る道の隣には、いくつもの道があります。

教育支援センター、フリースクール、地元の公立中学への転校、通信制高校、サポート校、そして高校受験でのリスタート、高卒認定試験受験からの大学受験。

名前を挙げていけば、まだまだあります。

それぞれの仕組みの細かなお話は、今日はいたしません。

大切なのは、こういう道があると知っていただくこと、ただそれだけで、お母さんの息が少し楽になる、ということなのです。

地域の見守りの中で等身大の自分を取り戻していく子もいます。

自分の心と体のペースを何より大切にできる場所で、ゆっくり歩き直す子もいます。

教室という枠を離れたところで、ようやく安心できる居場所を見つける子もいます。

そして今はしっかり充電して、次の節目に、自分に合った場所を自分の手で選び直していく子もいるのです。

どの道も、負けではありません。その子に合った、回復のかたちなのです。

ただ、道を急いで選ぶことが、新しい傷になります

ここで、一つだけ気をつけていただきたいことがあります。

多様な道があると知って、少しほっとされたお母さんが、今度は「それなら、通信制にしましょう」「見学に行ってみる」と、急いで動き出してしまわれることがあるのです。

先回りをしてあげたいというお気持ちは、本当によく分かります。

けれども、お子さんの心と体のエネルギーがまだ戻っていない段階での選択は、「早く学校に戻りなさい」と急かすのと、実は同じプレッシャーになってしまいます。

道を知っておくことと、今すぐその道を選ぶことは、まったく別のことなのです。

今は、選ばなくていいのです。

ただ、「うちの子には、これだけの道が残されているのだ」と、心の引き出しにそっとしまっておいてくださるだけで十分です。

「別の道」は、あきらめでも、逃げでもありません

元の学校を離れて別の道を選ぶことは、決して敗北ではありませんし、逃げでもありません。

それは、お子さんの心と、その命を守り、その子がもっと自分らしくいられる場所へと向かう、前向きな一歩なのです。


不思議なことに、お母さんが「この子が元気で、笑顔でいてくれたら、もうそれで十分」と心の底から思えた瞬間に、お子さんの中に、自分から歩き出す力が、もう一度灯り始めることが本当に多いのです。

「この学校でなければ」という思いから、まずお母さんが自由になられたとき、お子さんもまた、ふっと軽くなれるのだと感じています。

「選ぶ」のは、エネルギーが戻ってから

道を選ぶ順番は、いつも同じです。

まず、心と体をゆっくり休める。

安心できる家庭を土台にする。

そうしてエネルギーが満ちてきたとき、お子さんの中から「こうしてみたい」という思いが、自然と芽を出してきます。

道を選ぶのは、その後で、十分に間に合うのです。


ですから、今、お母さんにしていただきたいのは、道を決めることではありません。

いくつもの道があると知って、少しだけ肩の力を抜いていただくこと。

それが、今できる一番のことなのです。


ここまで、元の学校のことだけを見つめて、眠れない夜を重ねてこられたのだと思います。

本当に、お疲れさまでした。どの道を選んでも、間違いなんてありません。


ただ、どの道がこの子に合っているのかは、ご家庭の状況によって本当に違いますので、一般的なお話だけでは、どうしてもお伝えしきれない部分があります。

もしよろしければ、一度お話を聞かせていただけましたら幸いです。

どうか一人で悩んで抱え込まないでくださいね。


なお、せっかく合格された私立中学に通えなくなって悩まれている方は、「私立中学での不登校」というシリーズもあわせてお読みいただけましたら幸いです。

私立ならではのしんどさについて、続けてお話ししております。


最後までお読みいただきありがとうございました。

どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。


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