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不登校のトンネルを抜けるための13のヒント 第4回

第4回「不登校の欠席連絡がつらい――学校との関係でお母様が消耗されないための、具体的な方法」

今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

感謝申し上げます。


朝、目が覚めた瞬間、まず頭に浮かぶのが「今日も学校に連絡をしなければならない」ということ。

布団から出る前から、その日一日のいちばん重い仕事が、もう始まってしまっている。

そんな朝を、毎日のように過ごしていらっしゃるお母様が、本当にたくさんいらっしゃいます。

ご主人は足早に仕事へ向かわれ、他のごきょうだいの朝食や身支度で家の中が落ち着かない中、「学校への連絡はお前がやっておいてくれ」と任されてしまっているお母様も少なくないと思います。

バタバタとした朝の風景の中で、不登校になられたお子さまの部屋の前に立ち、声をかけるべきか、そっとしておくべきか、じっと迷われる数秒間。

そして、受話器を持つ前の、あの数秒。声を作り、表情を整え、「すみません」という言葉を口の中で何度も練習されている、あの数秒です。

電話を切ったあとの、あの脱力感。お子さまにかける朝の言葉も、ご自分の朝食も、すべてが少し遠くに感じられる、あの感覚です。

朝の家族の時間が、たった一本の欠席連絡のために、すべて消えてしまっている。

働いていらっしゃるお母様にとっても、ご自宅で過ごされているお母様にとっても、これは本当に、お一人で重圧を背負い、心を削るできごとなのです。

毎朝の電話が、なぜこれほど心を削るのか

「すみません、今日もお休みさせてください」

この一言を、毎朝、何ヶ月も、ときには何年も繰り返されているお母様が、本当にいらっしゃいます。

電話口で、担任の先生から「今日はいかがですか」「明日は来られそうですか」と尋ねられるたびに、心のどこかで責められているように感じてしまわれる方が少なくないのです。

先生に悪気はもちろんありません。

お子さまのご様子を案じてくださっての、お言葉なのです。

ただ、お母様のお気持ちとしては、毎朝「行けません」とお答えされ続けているうちに、自分自身が「ダメな母親」というレッテルを毎朝貼られているような、そんな感覚になられることがあります。

これは、お母様が弱いからではありません。毎朝同じ場面で同じ謝罪を繰り返す、というのは、人の心にとって、本当に重い負担なのです。毎日同じ場所で同じ傷を負い続ければ、誰の心も少しずつ薄くなっていきます。

そして、この毎朝の電話は、単なる連絡ではなくなってしまっている、という感じがいたします。「謝罪の儀式」のようなものに変わってしまっているのです。

謝らなければならないことは、本当は何ひとつないのです。

それなのに、毎朝「すみません」を口にされ続けている。

この構造そのものが、お母様の自己効力感を、静かに、しかし確実に、削っていってしまうのです。

まずは、ご自身の心がそれほどまでに疲弊しているという事実を、どうかご自身で認めてあげていただきたいのです。

その電話は、お子さまにも届いています

お母様が電話口で何度も頭を下げていらっしゃるお姿。

そのお姿を、お子さまは、たとえ別の部屋にいらっしゃっても、ふしぎなくらいに感じ取っていらっしゃいます。

ことばにはされません。表情にも、はっきりとは出されないことが多いのです。

ただ、お子さまの心の奥では、「自分のせいで、お母さんが毎朝謝っている」「自分のせいで、家の中の空気が重い」という、目には見えない罪悪感が、少しずつ少しずつ積み重なっています。

お母様が電話口で「すみません」を繰り返されているたびに、お子さまの中では、ご自分を責める声がもう一つ重なっていきます。「自分が学校に行けないから」「自分のせいで、お母さんが」と。

この罪悪感は、お子さまの回復のエネルギーを、静かに奪っていきます。

お子さまの言葉や行動の表面だけを見るのではなく、その奥にどのような思いが隠されているのかを感じ取ることが何よりも大切なのです。

毎朝の電話を整えていくということは、お母様ご自身のためだけではなく、お子さまの心を休ませてさしあげるための一歩でもある、ということなのです。親子のエネルギーが、毎朝の「学校への連絡」という行動だけで同時に消耗してしまう構造から、抜け出す必要があるのです。

学校の先生も、実は困っていらっしゃる

少し視点を変えて、電話を受けていらっしゃる担任の先生のお立場から、この場面を見つめてみたいと思います。

担任の先生のお立場としても、毎朝の短いやり取りは、なかなかにつらいものなのです。

「お大事に」以外の言葉が、なかなか見つからない。先生もまた、ご自分の言葉に迷いながら、毎朝の電話を取られています。

そして、毎日「行けたら行きます」「今日は無理そうです」という不確実なやり取りが続いていきますと、学校側もお子さまの本当のご状況がつかめなくなっていきます。

判断材料がないまま、ある日突然「明日は登校刺激として、お友達に手紙を書いてもらいましょうか」というような、お母様にとってもお子さまにとってもつらい提案が出てきてしまうことが、もちろんあるのです。

一日のうちで、お一人のお子さまのことに割いていただける時間は、現実的にはとても限られています。

お互いに相手のことが本当の意味では見えていない「お互いに消耗し合う関係」から、「お互いに少しでも楽になる関係」へと切り替えていくこと。

それが、これからお伝えする具体的な工夫の、本当の意味なのです。

「正直に伝える」ことの本当の意味

「いっそ、本当のことをお伝えしてしまった方がいいのだろうか」

そう思われたとき、多くのお母様の心に、「見放されてしまうのではないか」「内申点に響くのではないか」という不安が浮かびます。

ここで、一つだけお伝えしたいことがあります。

「正直に伝える」ということは、ご家庭のすべて(ご夫婦の意見の相違やプライベートなお悩みなど)を話す、ということでは、必ずしもありません。

「学校に行けない状態(エネルギーが枯渇している状態)が、もう少し続きそうです」

この、たったひとことを、一度きちんとお伝えになる。

それだけで、毎朝の「すみません」のループから、ふっと抜け出せることがあるのです。

「事実の共有」と「私生活の開示」は、別のものです。事実だけを共有する。

心情や原因まで開かなくていい。この線引きを、どうかご自分の中にしっかりと持っていただきたいのです。

嘘を重ね続けることが、お母様ご自身を一番深く傷つけてしまいます。

「今日も、本当のことを言えなかった」という小さな自己嫌悪を重ねることに、実は意味がないのです。

学校のタイプによって、通り方は違う


学校の文化や運用はさまざまです。傾向としてお伝えしますと、次のような感じになります。

  • 公立の小学校・中学校:担任の先生のお考えが反映されやすく、スクールカウンセラーとの連携も含めて柔軟に対応してくださることが多いです。
  • 公立の高校:単位認定との関係から、欠席連絡フォームやメールなど、もともと事務的・システム的な連絡形式を整えている学校が多いです。
  • 私立の中高一貫校:学校文化による幅がもっとも大きい区分です。「電話以外不可」という保守的な学校もあれば、学年団や生徒指導の先生が柔軟に窓口になってくださる場合もあります。
  • 国立附属校:独自の厳格な運用をされていることが多いため、まずは担任への個別相談が必要です。

もしお願いがうまく通らなかったとしても、それはお母様のお願いの仕方が悪かったからでは、決してありません。

学校の文化と運用の違いによるものです。学校との関係は、少しずつ、お互いに調整していくものなのです。

最も負担の少ない形を、お願いしていい――文例集

それでは、具体的にどのような形でお願いすればよいのか。四つの場面ごとに、文例をご紹介させていただきます。

文例1:週1回連絡への移行を、初めてお願いするとき

「いつもお世話になっております。しばらく学校をお休みする状態が続きそうですので、毎朝のお電話ではなく、週に一度、金曜日の午後にメールでご報告させていただく形をお願いできませんでしょうか。何か変化がございましたら、その都度ご連絡いたします」

  • 向いている状況:連絡を変えていただく最初のお願いとして、いちばん使いやすい形です。
  • 言い換えのヒント:「金曜日の午後」や「メール」の部分は、学校やご家庭の事情(学校指定の連絡アプリなど)に合わせて変更してください。
  • 使うときの心構え:卑屈になられる必要はありません。淡々と、事実だけを伝える感じで大丈夫です。

文例2:連絡時間帯の変更を、お願いするとき

「いつもお世話になっております。朝の時間帯にお電話を差し上げるのが難しい状況が続いておりますので、お昼休みか放課後のお時間にご連絡させていただく形でもよろしいでしょうか」

  • 向いている状況:連絡そのものは続けるけれど、朝の忙しい時間帯を避けたい場合に有効です。
  • 言い換えのヒント:朝の状況が見えにくい場合は、「朝はまだ本人の状態が見えにくいため」と言い換えられます。
  • 使うときの心構え:先生にとっても朝の多忙な時間を避けられるため、双方にメリットがあり、非常に通りやすいお願いです。

文例3:「特段の変化があったときのみ連絡する」合意を、お願いするとき

「いつもお世話になっております。現在、本人が心身ともに休養を必要とする状態にありますので、当面の間はゆっくり休ませたいと考えております。お電話やメールは、状況に変化がございましたときに、こちらからご連絡を差し上げる形でお願いできれば幸いです」

  • 向いている状況:不登校が長期化しており、毎週の連絡そのものがお母様の負担になっている場合に向いています。
  • 言い換えのヒント:学校に連絡フォームやアプリがある場合は、「欠席の連絡フォームのみの送信とし、お電話は特段の変化がある場合のみとさせていただけますと幸いです」と伝えます。
  • 使うときの心構え:いちばん深いお願いになります。合意が取れれば、お母様の負担は劇的に軽くなります。

文例4:一度断られた後、再度別の形でお願いするとき

「先日はご相談をお聞きいただき、ありがとうございました。学校のご事情もよくわかりました。その上で、毎朝のお電話が、本人にも私にも負担になっている状況がございますので、別の形を、もう一度ご相談させていただけませんでしょうか」

  • 向いている状況:一度お願いが通らなかったときに、段階的な妥協案(「週に2回にする」「連絡帳でのやり取りにする」など)を提示して再交渉する形です。
  • 言い換えのヒント:「本人にも私にも負担になっている」という、お子さまの存在をそっと前に出される表現が有効です。
  • 使うときの心構え:一度断られても諦める必要はありません。少し時間を置いてから、別の角度で再提案してみましょう。

担任の先生で難しいときの、次の窓口

文例をお試しいただいても、担任の先生がどうしても頑なな場合、お母様がたった一人で交渉を続けていらっしゃる必要は、本当にないのです。

養護教諭(保健室の先生)

  • 役割:お子さまの心身の様子について、いちばん理解してくださりやすいお立場です。
  • 話を切り出す言葉:「保健室の先生にも、本人の状況を少しお聞きいただけないでしょうか。実は毎朝の連絡で私が参ってしまっていて……」
  • 実務的アドバイス:教頭や校長などの管理職へお話しする際、直接掛け合うよりも、養護教諭の先生に間に入って「保健室としてもお母様の体調が心配です」と伝えてもらう方が、学校側の角が立たずにスムーズに話が進むことが多いです。

スクールカウンセラー(SC)

  • 役割:保護者の方の精神的なご相談も受け付けます。
  • 話を切り出す言葉:「保護者の立場で、一度お話を聞いていただきたいのですが、ご予約は可能でしょうか」
  • 特徴:直接の決定権はありませんが、お母様の疲弊具合を担任へ伝え、連絡方法変更への「強力な橋渡し役」になってくれます。

学年主任 / 教頭・校長

  • 役割:学校全体の運用や、最終判断を行う立場です。
  • 特徴:担任が若い、あるいは経験が浅くてマニュアル通りの対応しかできない場合、学年主任や教頭にこれまでの相談経緯を整理してお話しすることで、一発で解決することがあります。

学校外の窓口

自治体の教育支援センター(適応指導教室)や教育相談窓口、または私のような民間の専門相談機関を頼ってください。

お母様が、たった一人で背負われる必要は、本当にないのです。

お子さまには、どう伝えるか

連絡方法を変えていただくことを、お子さまご本人にどう伝えるか。

1. 学校のことを話題にされたいお子さまの場合

「毎朝の電話、お母さんもけっこう大変だったから、週に一回のメールに変えてもらったの。これで、朝が少し楽になると思う」

  • ポイント:「あなたのせいで」とは言わずに、「お母さんが大変だったから(主語を私にする)」と伝えることで、お子さまの罪悪感を増やさずに安心させることができます。

2. 学校のことを話題にされたくない(拒絶が強い)お子さまの場合

特に伝える必要はありません。

  • ポイント:「学校」という言葉自体が刺激になる時期は、お母様が水面下で静かに環境を整えてあげるだけで、お子さまの心は自然と軽くなっていきます。

3. 反応が読みにくいお子さまの場合

お子さまが少し落ち着いていらっしゃるお時間に、「お母さん、朝の連絡を少し楽な形に学校と相談してみようと思うんだけど、どうかな?」と、ご相談されるように伝えてみてください。

返事がなくても、お返事するエネルギーが今はないだけです。そっとお気持ちを置いておくイメージで大丈夫です。

何が変わったら、うまくいったと言えるのか

ここで、どうしても気をつけていただきたいことがあります。

「お子さまが学校に行けるようになったかどうか」を、ここでの成功の指標になさらないでください。

連絡方法を整えたからといって、すぐにお子さまが登校できるようになるわけではないからです。

「登校」を指標にしてしまうと、お母様はまた、別の形で苦しまれることになります。

数字でも、登校日数でもないのです。どうかご自分の心の感覚を、そっと確かめていただきたいのです。

  • 1週間後:朝、目が覚めたときの胸の重さが、少しでも軽くなったかどうか。
  • 1ヶ月後:学校からの連絡(着信表示)が来たときに、必要以上に動揺しなくなったかどうか。
  • 3ヶ月後:お子さまと向き合う時間に、ほんの少しでも「静けさ」と「心の余白」が戻っているかどうか。

その小さな静けさこそが、これから始まる長い回復の、いちばん大切な土台になっていきます。

学校と戦うのではなく、「境界線」を引くということ

ここまでお話ししてきた「連絡方法を整える」ということは、「境界線」を引く、ということになります。

学校との関係は、「対立」でも「服従」でもありません。

そのどちらでもない第三の立ち位置、それこそが「境界線を引く」ということです。

お母様のエネルギーは、有限です。無限に学校の要求に応えることは、誰にもできません。

境界線とは、お母様がご自分とお子さまの心を守るための、大切な見えない盾なのです。

そして、この境界線というのは、実はご家族の中、お母様とお子さまの間にもあります。

それは、お母様がお子さまにかけられる言葉の一つひとつにも、深く関わっているのです。

「もう少しがんばったら?」「お友達みんな心配しているよ」「明日は行けるかな?」

こうした言葉は、すべてお母様の深い愛情から出ているものです。

ただ、お子さまの内側では、それがどう響いているか。ここに、もう一つの境界線の話があります。

このお話は、連載「私立中学での不登校」第9話「ご家族の覚悟と、たった一言の重さ」の中で、これからゆっくりと触れさせていただく予定です。

今日のところは、「学校との境界線」と「家族の間で交わされる言葉の重さ」はつながっているのだと、心の片隅にそっと置いておいていただければと思います。

お母様が消耗されないこと、それ自体が、お子さまへの一番の支え

連絡方法を整えるという小さな一歩。

それによって生まれるお母様の心の余白は、ふしぎなくらいにお子さまに伝わり、何よりの安心になります。

不登校からの回復は、長い道のりです。

その長い道のりを支えていく土台は、お母様の心の余白なのです。

どうぞ、一人で悩まないでください。

お母様の選択肢の一つとして

ここまでお読みいただいた内容を、お一人で実践されるのが難しいと感じられた場合は、いつでもご相談ください。

  • 担任の先生にお出しする文面を、学校のご事情に合わせて一緒に整えること
  • 学校のタイプに合わせた対応の組み立て方を、ご一緒に考えること
  • 学校との関係を整えたあとに残る、お子さまへの向き合い方を整理すること
  • お母様のお気持ちを、ただゆっくりとお聞きすること

「相談する」というほど大げさなことでなくても、「ちょっと話を聞いてほしい」というだけのご利用も、もちろん大歓迎です。

6月の期間中は、初回30分の無料相談を承っております。

▶ 個別相談のご案内はこちら(https://ktani.info/consultation/)

お母様が、ご自分のために時間をお取りになることも、お子さまへの大切な一歩になります。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。

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