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不登校のトンネルを抜ける13のヒント 第11回

目次

不登校の居場所を探したいのに、お金が続かない。親が抱える現実

今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

感謝申し上げます。


前回は、「甘やかしているからだ」という言葉を投げかけられたときに、お母さんがどう自分と子どもを守っていけるかを、一緒に考えてきました。

今回は、そこからもう一歩進んで、子どもが自分の力で「ここなら行けるかもしれない」と思える場所を見つけたときに、お母さんの前に現れる、もう一つの現実についてお話ししたいと思います。

居場所の料金を見て、申し込み画面を閉じた夜

これは複数のご相談をもとに再構成した事例ですが、ある家庭で、こんな場面がありました。中学生の子どもが、長い間、自分の部屋からほとんど出てこない時間を過ごしていました。

ある日、お母さんが何気なく置いておいたフリースクールのパンフレットを、子どもが自分で手に取り、「ここなら行けるかもしれない」とつぶやいたそうです。

お母さんにとって、それは久しぶりに聞いた、子どもの前向きな言葉でした。

長く続いた沈黙の中で、子どもの中にもまだ、外の世界に向かいたいという気持ちが残っていたのだと、涙が出るほど嬉しかったといいます。

その夜、お母さんは早速パソコンを開き、申し込みのページを見てみました。ところが、月々の利用料と、初回にかかる入会金のような費用を目にした瞬間、しばらく手が止まってしまったそうです。

年間にすると、決して小さな金額ではありません。

他の子どもの学費や、日々の生活にかかるお金との兼ね合いを考えると、すぐに「通わせます」と答えられる金額ではなかったのです。

お母さんは、静かに画面を閉じました。

お父さんに相談しても、「無理して行かせなくてもいいんじゃないか」という言葉が返ってきて、お金の心配を一人で抱え込んでいるように感じることもあったといいます。

その夜、お母さんは、隣で眠っている子どもの寝顔を見ながら、これでよかったのかと、何度も自分に問いかけたそうです。

お金のことで諦めさせてしまったのではないか、子どもががっかりしているのではないかと、想像は次々に広がっていきました。

このとき、お母さんの中には、二つの気持ちがせめぎ合っていたと思います。

一つは、せっかく子どもが自分から見つけた場所を、なんとか実現させてやりたいという気持ち。

もう一つは、そのために家計にどれだけの負担をかけられるのかという、現実的な不安です。

どちらも、お母さんとして自然な気持ちであり、決して矛盾したものではありません。

利用料だけではない、見えない負担

不登校の子どものための居場所を探すというと、多くの方は、月々の利用料そのものだけを思い浮かべると思います。

ただ、実際に調べていくと、それ以外にもさまざまな費用が積み重なっていくことが分かります。

たとえば、通所のための交通費です。

近くに適した場所がない場合、電車やバスを乗り継ぐ必要があり、その費用も毎月かかってきます。

また、体験授業のための教材費や、施設によっては制服や道具をそろえる必要がある場合もあります。

それだけではありません。

子どもの通所に付き添うために、勤務時間を調整したり、有給休暇を使ったりすることで、お母さんの働き方そのものにも影響が出てきます。

仕事を減らせば収入が減り、そのことがまた、支援にかけられるお金を圧迫するという、悩ましい循環に入ってしまうこともあります。

きょうだいがいる家庭では、その子どもの塾代や部活にかかる費用との兼ね合いも、お母さんの頭を占めることになると思います。

たとえば、きょうだいの塾代が月に二万円ほどかかっているとすれば、そこにもう一つ、同じくらいの金額が重なることになります。

単純な比較ではないと分かっていても、家計簿を前にすると、その数字の重さを感じてしまうのです。

一人の子どものために使えるお金と、家族全体で使えるお金は、必ずしも同じ大きさではありません。

それを比べて、「自分の子どもだけを優先していいのだろうか」と、静かに苦しくなるお母さんも少なくないのです。

それでも、お金の心配をしていることを、子どもの前では見せたくないと思うお母さんも多いと思います。

子どもに気を遣わせたくない、これ以上不安にさせたくないという思いから、一人で悩みを抱え込んでしまうことがあります。

ここで大切にしていただきたいのは、こうした悩みを抱くこと自体は、決して母親として足りない部分ではないということです。

お金のことを考えるのは、家族全体の生活を守る責任を持っているからこそのことです。

高い支援ほど良いわけではないという誤解

こうした状況の中で、多くのお母さんが陥りやすい思い込みが一つあります。

それは、利用料の高い支援ほど、子どもにとって効果があるという考え方です。

もちろん、費用をかけた分だけ、施設の設備や人員が充実している場合もあるかもしれません。

ただ、子どもにとって本当に大切なのは、その場所が安心できる雰囲気を持っているか、そして、子どものペースに合わせて通い方を調整できるかということです。

高額な施設に無理をして通わせても、子どもがそこに馴染めなければ、意味を持ちません。

逆に、費用が抑えられた場所であっても、子どもが「ここなら大丈夫」と感じられる場所であれば、それは子どもにとって、かけがえのない一歩になります。

実際に、費用をかけて選んだ場所に子どもが通えず、逆に、たまたま見つけた無料の相談会で子どもの表情が和らいだという例もあります。

支援の相性は、価格とは別の場所で決まることが多いのです。数字だけを見て焦る必要はないのです。

支援の選び方において、金額と質を単純に結びつけて考えないことが、お母さんの気持ちを軽くする一つの視点になると思います。

公的な制度と、無理のない利用の仕方

具体的な選択肢として、まず知っていただきたいのが、教育支援センター、いわゆる適応指導教室です。

多くの自治体に設置されており、無料、あるいは非常に低い負担で利用できることが一般的です。

学校を通じて情報が得られることもありますし、自治体の教育委員会に直接問い合わせることもできます。

教育支援センターの利用は、多くの自治体で無料となっており、民間のフリースクールで一ヶ月に三万円前後かかる利用料と比べても、家計への影響は大きく異なります。

また、自治体の子育て相談窓口では、不登校の子どもを持つ家庭向けの助成制度や、利用できる支援サービスについて、案内を受けられる場合があります。

民間のフリースクールだけでなく、NPO法人が運営する低費用の学習支援の場や、地域の子育て支援拠点が居場所として機能している場合もあります。

まずは自治体の窓口やインターネットの情報から、複数の選択肢を並べて比較してみることをお勧めします。

制度の内容や利用条件は、自治体によって差がありますので、お住まいの地域の窓口に、直接確認していただくのが確実だと思います。

利用の仕方についても、毎日通うことを前提にしなくてよいと思います。

週に一度だけの利用から始めたり、対面とオンラインを併用したりすることで、子どもの体調や気持ちに合わせた通い方ができます。

相談だけを利用できる場所もありますので、まずはそこから始めるという選び方もあります。

無料のオンラインコミュニティを、子どもと一緒に覗いてみることも、小さな一歩として有効です。

同じような立場の子どもたちの言葉に触れることで、子どもの気持ちが少しずつ動くきっかけになることもあります。

家庭そのものが、子どもの土台になるということ

適切な居場所が見つからないとき、お母さんは「家で見守るしかない」と、どこか申し訳ない気持ちになることがあると思います。

ただ、家庭で子どもを見守ることは、外部の支援を利用できないことへの、代わりの手段ではありません。

子どもが安心して眠れる場所があり、自分の気持ちを話せる相手がいる。

その土台があるからこそ、子どもは少しずつ、外へ向かう力を蓄えていくことができるのです。

家庭は、支援が見つからないときの「仕方がない代替」ではなく、子どもの回復を支える、もっとも根本的な場所だと思います。

支援に使えるお金の大きさと、子どもを思う気持ちの大きさは、決して一致しません。

お金をかけられなかったからといって、お母さんの愛情が足りないわけでは、まったくないのです。

むしろ、限られた予算の中で、子どものために何ができるかを考え続けているその姿勢そのものが、子どもへの思いの深さを表していると思います。

子どもが「ここなら行けるかもしれない」と言った言葉の奥には、外の世界に向かいたいという願いと、家族に負担をかけたくないという小さな我慢が、同時に隠れていることがあります。

子どもは、パンフレットの料金欄をちらりと見て、それ以上は何も言わなかったかもしれません。

その沈黙の中に、家計を心配する気持ちが混ざっていたとしても、それを言葉にすることは、子どもにとって簡単なことではないのです。

その両方に、お母さんが心を向けていること自体が、子どもにとって大きな支えになっているのだと思います。

今、すぐに理想の居場所を用意できなくても、子どもの気持ちと家庭の現実の両方を見ようとしているお母さんの姿は、いつか子どもに伝わっていくものだと、私は思っています。

適切な居場所がすぐに見つからないとき、お母さんは「家で見守るしかない」と感じることが多いと思います。

ただ、その「見守る」という言葉の中身は、実はとても幅広く、迷いやすいものです。

放っておくことと見守ることの違いが分からなくなり、疲れてしまうお母さんも少なくありません。

その見守り方については、また次にゆっくり考えていきたいと思います。

お金のことも、居場所のことも、一人で抱え込まず、必要なときには専門家に相談していただきたいと思います。

一人で悩まないでください。

お悩みの方は個別にご相談ください。


最後までお読みいただきありがとうございました。

どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。

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