中学受験の生活面・メンタル面を考える(25)
今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。
感謝申し上げます。
毎日、本当にお疲れ様です。
朝早くからのお弁当作り、夕方の塾への送迎、そして膨大なプリント整理。
「少しでも上の学校へ」と願うお母さんは、ご自身の睡眠時間を削ってまで頑張り続けておられます。
その深い愛情は、本当に尊いものです。
ただ、その愛情がゆえに、お母さんの心と体が限界に近づいていることはないでしょうか。

お母さんの「限界」は、子どもには見えていません
お子さんの偏差値が50前後で伸び悩み、次のテストで挽回しなければと焦る気持ちばかりが募ります。
それなのに、目の前のお子さんは、宿題のノートを開いたままぼんやりしている。
やる気がまったく感じられないこともある。
そんなお子さんの姿を見ると、限界まで張り詰めているお母さんの感情は、簡単に決壊してしまいます。
「どうしてやらないの!」と怒鳴ってしまう。
「このままじゃ、どこにも合格できないよ」と、感情に任せて叱りつけてしまう。
そして、泣きながら眠りについたお子さんの寝顔を見て、深夜のリビングで「また怒ってしまった」と後悔される。
「私がこんなに怒るからダメなんだ」と、激しい自己嫌悪に陥る夜を過ごしておられる。
そんなご相談を、これまで数多く受けてきました。 これは決して特別なことではありません。
真剣にお子さんの未来を考えている多くのお母さんが、同じように苦しんでおられるのです。
「私が一人で頑張らなければ」というお母さんの孤独
もちろん、お母さんはお子さんを追い詰めたいわけではありません。
4年生で塾に入った頃は、「一緒に頑張ろうね」と笑顔で励まし合っていたはずです。
それがいつの間にか、成績という数字に振り回されるようになります。
ママ友の「うちはもう過去問を終わらせた」という言葉、SNSで目にする優秀なお子さんの投稿。
そういうものに触れるたびに、「うちの子だけが遅れているのではないか」と不安が募ります。
それに加えて、ご主人との温度差で孤立してしまうご家庭も少なくありません。
「そこまで無理して受験させる必要があるのか」というご主人の言葉に、お母さんは「私が一人で頑張らなければ、この子はダメになってしまう」と、すべての責任を両肩に背負い込んでおられるのです。
子どもが「やらない」のは、怠けているからではありません
ここで、お伝えておきたいことがあります。
お母さんが心身のゆとりを失い、ピリピリしているとき、お子さんはその空気を痛いほど敏感に感じ取っています。
お子さんが宿題をやらない、無気力でいる。
表面的な態度だけを見ると、単に怠けているように見えるかもしれません。
反抗期だから仕方がない、と思えたりもするかもしれません。
ただ、その態度の奥には、言葉にならないSOSが隠れていることが、本当に多いのです。
お子さんは、大好きなはずのお母さんから笑顔が消えているのを、ずっと見ています。
「自分が勉強できないせいで、お母さんが苦しんでいる」
「自分はお母さんを不幸にしている存在なのではないか」
そう感じて、小さな胸を痛めておられる。
その不安が行き場を失って、「もう勉強なんてやりたくない」「塾に行きたくない」という形で表に出てきている、という感じなのです。
お子さんが本当に求めているのは、分刻みのスケジュール管理ではありません。
ただ、自分が安心して勉強に向かえるための、お母さんの穏やかな笑顔なのです。
中学受験、最大の戦略
中学受験には、いろいろな戦略があります。
志望校選び、塾選び、過去問の進め方、模試の使い方。
どれも大切です。
しかし、私がご家庭を見てきて、いちばん大切だと感じるのは、「お母さんが、最後まで笑顔でいられること」なのです。
これは精神論ではありません。
むしろ、極めて現実的な戦略です。
入試本番は、関西は1月、関東では2月。
それまでに、夏期講習、秋の模試ラッシュ、冬期講習、正月特訓と、山場が何度もやってきます。
そのすべての場面で、お子さんを支え、励まし、ときに気分転換に連れ出し、ときに塾の先生と話し合うのは、お母さんです。
ということは、お母さんがエネルギーを切らしてしまった瞬間、ご家庭全体の伴走が止まってしまうのです。
仕方がない、というだけでは済まされないのが、中学受験の怖さでもあります。
お母さんが休むことは、お子さんへの「教育」です
「私が休んだら、子どもが勉強しないんじゃないか」 そうおっしゃるお母さんは、本当に多いです。
ただ、これも長く見てきて思うのですが、お母さんが少し肩の力を抜かれたご家庭のお子さんのほうが、後半に伸びていく、というケースが、決して少なくありません。
お子さんは、お母さんの様子を、想像以上によく見ています。
お母さんが「今日はちょっと疲れたから、お茶でも飲んでひと息つくね」と言える日があれば、お子さんも「ああ、疲れたら休んでいいんだ」と学ぶのです。
これは、勉強そのものを教えるよりも、ずっと長く、お子さんの人生を支える力になります。
「休む」を実現するための、具体的な一歩
「休んでいい」と頭ではわかっていても、現実にはなかなか難しい、という声をよく聞きます。
そこで、ご家庭で実際にできる具体的な一歩を、いくつかご紹介しておきます。
- 夕食の準備を手抜きして、お惣菜やデリバリーに頼る日をつくる
- 週末のプリント整理を、思い切って一回お休みしてみる
- 家事代行や宅配サービスを、月に数回だけでも取り入れてみる
- 塾の先生に「宿題のどこを優先し、どこを削ってよいか」を相談する
- ご主人に、具体的に「これだけは担当してほしい」と言葉でお願いしてみる
特に最後の二つ、塾の先生やご家族を巻き込むというのは、お母さん一人で抱えてきた重荷を分散させるうえで、とても大切なことなのです。
「全部の宿題をやりきらせないといけない」と思っておられるお母さんは多いのですが、塾の先生に相談すれば、お子さんの現状に合わせて取捨選択をしてくださることも、決して少なくありません。
倒れる前に、一度だけ話してみてください
私はこれまで、たくさんのお母さんが、本当に限界の一歩手前で相談に来られるのを見てきました。
そして、お話しいただいたあとに、決まってこうおっしゃるのです。 「もっと早く相談すればよかった」
ご家族に話せないこともあると思います。 塾の先生には言いにくいこともあると思います。
ママ友には、なおさら話せないことも、たくさんあると思うのです。
だからこそ、利害関係のない場所で、安心して話せる相手を一人持っておかれることを、強くおすすめしています。
中学受験は、お子さんの戦いであると同時に、お母さんの戦いでもあります。
お母さんが倒れないこと。 それ自体が、立派な戦略の一つなのです。
どうか、ご自分のことも、後回しになさらないでください。 一人で悩まないでください。
お子さんのこと、ご自身のこと、何か気になることがございましたら、お気軽に個別にご相談ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。
ー中学受験と不登校(1033)ー

