家が”第二の塾”になってしまう家庭で起きやすいこと
今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。
感謝申し上げます。
中学受験のご相談をお受けしていると、成績や志望校のこと以上に、家庭の空気が重くなっていることが気になるご家庭が、本当に少なくありません。
塾では授業を受け、宿題が出て、テストがあり、クラス分けがあります。
それだけでも、子どもにとってはかなり緊張し、心に負担を負っています。
ところが、家に帰ってきてからも、 「宿題は?」 「今日の復習は?」 「直しはやったの?」 「次のテスト範囲は?」 と、ずっと、やつぎばやに勉強の話が続いているご家庭があります。
リビングのテーブルに塾のテキストとノートが並び、お母さんが横についてマル付けをし、間違えたところはその場で解き直す。
そんな光景が、夜の10時、11時まで続いている。
これは、何も特別なご家庭で起きていることではありません。
むしろ、お子さんのことを真剣に考えているお母さんほど、起こりやすいことなのです。
なぜ、家が”第二の塾”になってしまうのか
少しでも良い学校に行かせてあげたい。
今ここで踏ん張らないと間に合わないかもしれない。
この子は自分からはなかなか動かないから、親が見なければ・・・。
私ががんばらないと。
そう思えば思うほど、家でも勉強を回さなければ、という気持ちになります。
もちろん、そのお気持ちはよくわかります。
そして、これはお母さんが悪いのではありません。
大手進学塾の宿題は、子ども一人では到底こなしきれない量と難易度で設計されていることがほとんどです。
ということは、誰かが家でフォローしないと回らない、ということになります。
毎週、毎月、テストの結果が通知され、クラス分けがあり、席順がある。
その数字を見るたびに、「やらせなければ」と思ってしまうのは、仕方がない面があります。
ただ、必ずしも、お母さんが家庭で塾の代わりをしなければならない、ということではないのです。
家が”第二の塾”になると、何が起きるのか
家にいる時間のほとんどが「勉強の管理」「成績の確認」「次にやらせる課題の指示」に支配されていく。
ご飯のときも、「今日の小テストどうだった?」
お風呂上がりに、「漢字、やった?」
寝る前に、「明日のスケジュール、確認した?」
お母さんとしては、確認しているだけのつもりです。
ただ、子どもにしてみると、家にいる間ずっと、塾の続きをやらされている感覚になっていくのです。
塾では先生に管理され、家ではお母さんに管理される。
ということは、子どもには「自分のままでいられる時間」が、どこにもなくなってしまうということです。
そうなると、子どもの表情が変わってきます。
これまで「今日こんなことがあってさ」と話してくれていた子が、急に何も話さなくなる。
リビングを素通りして、自分の部屋に直行する。
ご飯のときも、ぼそぼそとしか喋らない。
そして、ちょっとした言葉に過剰に反応するようになります。
「漢字やった?」と聞いただけで、「うるさい!」と返ってくる。
「今日の授業どうだった?」と聞いただけで、無言で部屋に戻ってしまう。
ゲームやYouTubeの時間が、目に見えて増えていく。
これは、子どもが怠けているのではありません。
家の中に「勉強じゃない自分」でいられる場所がないから、画面の中にだけ、その場所を求めているのです。
心の防衛反応、という感じです。
こうなると、さらに、お母さん自身も苦しくなってきます。
「私だってこんなこと言いたくない」
「でも、言わないとこの子は動かない」
「言えば言うほど、関係が悪くなっていく」
そういう、抜け出せないループの中に、お母さんも入り込んでしまうのです。
子どもが本当に求めているもの
41年、子どもたちと関わってきて、のべ8,000人以上のご家庭を見てきて、私は一つのことを確信しています。
子どもが家でお母さんに求めているのは、「もう一人の先生」ではなく、「自分の話を聞いてくれる人」だということです。
「今日、こんな問題が解けなかった」と子どもが言ったとき、お母さんが「じゃあ、今から解き直そう」と返すのか、「そっか、悔しかったね」と返すのか。
子どもにとっては、まったく違う家になります。
前者は塾の延長です。
後者は、家です。
もちろん、勉強はしないといけません。
ただ、家の中で勉強をさせる時間と、家の中で「子どものままでいさせる時間」と、両方が必要なのです。
その両方がないと、子どもはどこかで心折れます。
言葉の向こう側にあるもの
「うるさい」と言われたとき。
「あとでやる」と言われたとき。
「もう無理」と言われたとき。
その言葉だけを聞くと、お母さんは「反抗的だ」「やる気がない」と感じてしまうかもしれません。
ただ、その言葉の向こう側には、必ず、子どもの想いがあります。
「うるさい」の向こうには、「これ以上言われたらしんどい」「今は何も考えられない」「少し休ませてほしい」。
「あとでやる」の向こうには、「やらなければいけないのはわかっている」「でも今は身体も心も動かない」。
「もう無理」の向こうには、「勉強が無理」だけではなく、「この空気が無理」「期待に応え続けるのが無理」という苦しさがある場合もあります。
子どもは、自分の苦しさをうまく説明できません。
だからこそ、子どもの言葉や行動の向こう側にある想いを聞こうとする視点が、何より大切になります。
それは、技術ではありません。
「この子は今、何を感じているんだろう」と、お母さんが一瞬立ち止まること。
その一瞬が、家を、塾から「家」に戻していきます。
今日からできる、小さな一歩
大きなことを一度に変える必要はありません。
帰宅直後の10分は勉強の話をしない。
顔を見た最初の一言を、「宿題は?」ではなく、「お帰り。今日は疲れたね」に変える。
食事中は、勉強の話をしない時間にする。
これだけでも、子どもの受け取り方はかなり変わります。
一人で抱え込まないでください
ここまでお読みいただいて、「うちのことだ」と感じられたお母さんもいらっしゃると思います。
だけど、ご自分を責める必要は、まったくありません。
中学受験という仕組みの中で、必死にお子さんを支えようとされてきた、その結果なのですから。
ただ、ここから先、家を「家」に戻していくためには、家庭の外の目が必要なことがあります。
お母さんとお子さんの関係の中だけで考えていると、どうしても堂々巡りになってしまうからです。
第三者と話す中で、お母さん自身が「あ、こういうことだったのか」と気づかれることが、本当にたくさんあります。
私のところには、「もう、どうしたらいいかわからなくて」という想いを抱えたお母さんが、たくさん相談に来られます。
最初は、何から話せばいいかわからない、という方がほとんどです。
それでいいのです。
谷さん、と呼んでくださって、ぽつぽつ話してくださるところから、一緒に整理していければと思っています。
今の状態を、無理に前向きに考える必要はありません。
苦しいものは苦しいままで大丈夫です。
その中で、何を整理すると少し楽になるのかを、一緒に見ていくことはできます。
なお、「大手進学塾に通っているけれど、成績が全く上がらない」「そもそも、今の塾が合っているのかわからない」「もっと子どもに合った塾を探したい」というお母さんは、難関中学受験対策専門塾クリエートベースの入塾前個別相談もご検討ください。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。
ー中学受験と不登校(1029)ー
