中学受験と不登校(767)本当に塾が必要ですか?26

本当に塾・予備校が必要ですか?26
今日も私のブログにお立ち寄りいただきありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
先日から、中学2年生になる子どものことの話をさせていただいています。
この子どもは、何かお母様から言うと、
「他の子はそんなことしてない」
「そんなこと言われてもわからない」
「そうしろって言うならしてもいい」
「がんばって、なんかいいことあるの?」
「テストのためにだけ勉強しても意味ない」
などと言って、何もしようとはしません。
こうなったのは、ご家族が「少しでも勉強して良い成績をとることが、子どもがしなければならない最も重要なこと」だと考えて、子どもの感情など考えることもなく、とにかく勉強をすることを要求し、激しい競争の真っただ中に放り込んでしまったことが原因の可能性は高いと思います。
それと同時にもう一つの原因があると思っています。
お母さんがの思いによるものです。
中学受験に対して、どのような思いがお母さんにあるのか、お考えくださいと、前回お話ししましたが、お考えいただいたでしょうか。
お母さんがご自身が中学受験をしている場合も、していない場合もどちらもあると思います。
そして、中学受験をして良かったと思っていることも、良くなかったと思っていることもあると思います。
また、中学受験している、していないに関わらず、お母さんがこれまでのご自身の人生を、良かったと思っていることも、良くなかったと思っていることもあると思います。
これは、もちろん、お父様にも当てはまります。
ここまでの人生が良いと感じていても、悪いと感じていても、子どもには少しでも苦労をさせないようにしたいと思うのは、親としての人情でしょう。
だからこそ、
「あらゆる選択肢を考え、確実にお金を稼げて安定した生活を送れるようにしてあげたい。だから、親にできることは、お金をかけて少しでも難しい大学に行かせておいてあげることくらい。友人関係を考えても、少しでも早く中学受験の時に少しでも難しい中学に行かせておけば、後は、学校に任せておけば、ある程度の大学には行けるはずだ。」
と考えて、中学受験をさせようと思われたのではないでしょうか。
違うお考えもあるでしょう。
どの場合にしても、それは、ご家族の思いでしかありません。
ここでお聞きしたいのですが、思春期になれば、お母さん、お父さんが、自分たちの思いをこの子は聞いてくれるかどうかわからないし、今のうちに親が一つの方向性を決めてあげないといけない、と思い込んでいませんか?
「子どもは、世の中の仕組みがわかっていないのだから、親が導いてあげなければ失敗したらどうするの?」
とあるお母様に怒鳴られたことがあります。
面談の時です。
怒鳴り散らされたという方がぴったりかもしれません。
この子は、成績不振で、中学受験の大手進学塾をやめました。
自分で辞めたというよりは、お母さん、お父さんに辞めさせられました。
それでも、中学受験をあきらめきれず、学校にも行かず、受験勉強をしたのですが、すべて不合格になり、公立中学に進学しました。
そこで、不登校になり、ご相談に来られたのですが、お母さんが、ご相談に来られた時に、「どこの高校なら合格させてもらえますか?」というご相談だったんです。
合格すれば、元気になるから、とにかく合格させてあげたいのです、とおっしゃるのです。
そこで、「なぜそんなに難関校の合格にこだわられるのですか?」とお聞きしたときに、先ほどのように言われ、怒鳴り散らされたのです。
お母さんは、なぜ、執着と言っていいくらいにまで、子どもの難関校への進学にこだわらるのでしょうか。
・私立中学に行かせる方が、すこしでも難しい大学に進学できる可能性が高くなる
・早く大学受験の準備ができる方が、子どもが楽
・私立中学の方がレベルがそろっているし、同じくらいの学力の子どもと切磋琢磨する方がのびる
・私立の方が、進路指導も徹底しているから、大学に進学しやすい
・何度も受験勉強をさせるのは非効率
・公立中学に行っても塾に行かせることを考えると、私立に行っても、公立に行っても、かかる費用に大差はない
・私立中学は設備が良い
・とにかく難関国私立中学に行かせたい
などと、お母さん、お父さんが思っていらっしゃることが多いと思います。
多くは、子どもの思いではありません。
子どもが納得して中学受験を望むということは、あまりないでしょうから、結局のところ、親の思いで受験させることになります。
どんなリスクがあるかもわからず、激しい競争が中学受験合格後も続くということも理解できおらず、ブランド意識だけを持ち、下手をすると、偏差値ランクが高い方が、人間として素晴らしいと言わないばかりの、変なプライドを持つようになり、人として歪んでいく子どもが現にたくさんいます。
一方で、不合格になるか、望まない中学校に進学していく子どももいます。
知らず知らずのうちに、激しい競争の真っただ中に放り込まれているにもかかわらず、子どもの思いが何も大切にされないどころか、聞かれることもないことが、最大の問題だと、私は思います。
日頃から子どもの思いをしっかりとお聞きになっていらっしゃるお母様、お父様と聞いてもらい、家の中で心から安心してくれせている子どもが中学受験することとは、大きな差があります。
日頃からの親子関係によって、子どもを極限まで苦しめて、結果的には、誰のプラスにもならないばかりか、子どもの人生に暗い影を落としてしまうことになることが、現実的にあるのです。
ですので、日頃のお子さんの言葉や行動の向こう側にある子どもの思いを「聴く」こともできていないお母さん、お父さんが、中学受験をさせると、子どもは「何もわかってくれず、自分たちの言い分ばかり押し付けてくる」という思いになります。
気持ちが乗らないのは当たり前ですから、結果的に勉強もあまりせず、成績も伸びず、余計にお母さん、お父さんがイライラして、さらに圧をかけ、やらせようとして、子どもは「やっぱり何もわかってくれない」と無意識に感じて、勉強をむりやりしてしまい、成績はもっと伸びなるという、悪循環になっていくことを、子ども達から何度も見せていただきました。
日頃から子どもの思いを何も聴かずに、結果的に、親の思いだけを子どもに押し付けるようになってしまったことが、思春期に子どもの心が歪んでいく大きな原因になっていることを、ぜひ、ご理解いただきたいと願わずにはいられません。
そうしてしまう一つのきっかけが中学受験の激しい競争に放り込むことだということも、あわせてご理解をいただきたいと思います。
思いを聴かず、競争させることが、さらに問題を広げていくことについて、次回、お話ししたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今日も良い1日になりますことをお祈りいたします。