中学受験と不登校(605)続・こんな子どももいます

続・こんな子どももいます
今日も私のブログにお越しいただきありがとうございます。
塾に通ってくれていた高校生の男の子のお話を前回していました。
この男の子は、中学受験大手進学塾で常に上位5位以内にいたというのです。
同じ学年の子どもで、当時、同じ塾に通っていた別の子どもに彼のことを覚えているかどうか聞いてみたら、名前を見て思い出したと言っていましたから、相当有名だったのだと思います。
灘中受験を頑なに拒否して、中学受験は、どこの学校も受けなかったそうです。
このことは、ご家族にも確認しましたから、本当でした。
ここまでお読みいただき、「もったいない」と思った方は、要注意です。
彼は、この中学受験のことで、ご家族には、高校受験はある程度のところは受験するからという理由で、その場をしのいだそうです。
友達と一緒に学校に通いたい、楽しく学校生活を送りたいという彼の思いが、中学受験を断固拒否させたのです。
このときのことがあり、彼は、高校受験では、偏差値からすると、灘高も受験できたのでしょうが、地元の公立高校を希望したのです。
これをご家族にダメだと言われて、もめたそうなのです。
ご家族はもっと難しい学校に行けば、また違った友達もできると言って、お父様が譲らず、結局、中学受験の時の「ある程度のところは受験する」という約束を実行させるということで、高校受験を偏差値の高い私立高校の受験をすすめたのですが、思春期になり、徹底的に抵抗する彼に、手を焼いたそうです。
お母様が、彼が高校受験をするために、「妥協で国立大学附属なら受験してもいい。その代わり、高性能のパソコンを買って欲しい。買ってくれるなら国立大学附属を受験する。」というので、ご家族もその条件をのみ、彼も国立大学附属を受験し、見事に合格したのです。
ところが、ご家族は、彼の希望の高性能のパソコンではなく、そこそこのパソコンを買い与えたために、彼は、完全に裏切られたとの思いから、一切の勉強を拒否したのです。
彼は、小学校、中学校の時の友達と、楽しく学校に通いたい、その友達たちが受験する公立高校を受験したいと懇願したにもかかわらず、ご家族はそれを認めず、彼の成績だけで、難しい高校の受験をさせようとしてしまったのでした。
中学受験の時も、高校受験の時も、勉強すれば良い成績が取れる、高偏差値を出すことができるけれど、それは、自分の首を絞め、友達との時間を失い、自分には何も楽しいことではないとわかり、「勉強して良い成績を取ると、親は自分の意見を聞かなくなる」という理由で、勉強することを拒否してしまったのです。
これは、明らかにご家族が、子どもの意見を聞かず、強引に受験をさせようとした中学受験、無理に受験をさせた高校受験が、彼をここまで追い詰め、ご家族に対して、不信感を持つほどにまでしてしまったことは、とても悲しいことです。
このことを聞いて、私は、もう適当にやって、自分の進みたい方向に行けばいいんじゃないか?もう悲しい思いはしなくていいやろう、としか言ってあげられなかったのです。
彼が希望する大学に進学したことは言うまでもありません。
たった4ヶ月、勉強しただけです。
それでも、関関同立大クラスなら合格できるだけの勉強方法も、努力の仕方も知っていました。
だから、何も私も心配していませんでした。
ただ、国としても、彼の能力を現時点では生かせなかった。
ご家族も彼が勉強ができるがゆえに、その勉強のできることに意識が向きすぎて、彼の思いをわかってあげなかった。
これは、誰にとっても、大きな損失です。
一番辛いのは彼であり、彼の心を傷つけてしまったことは、最も悲しいことだと思います。
勉強ができる、灘中、灘高は行きたくて行きたくて、懸命に努力をしている子ども達がいます。
それは、それで良いことだと思います。
彼のようにやろうと思えばできることは、具体的な数値だけでなく、彼のノートや問題の解き方を見ていればわかります。
しかし、それを本人が望むことではないのであれば、無理強いすることは、やってはいけないことだと思います。
それは、余りにももったいないという方もいらっしゃるでしょう。
確かに、彼はやればもっと難しい学校に合格していくことはできたと思います。
能力があるなら、それをもっと伸ばしていけるようにするべきだという意見もあるでしょう。
でも、それが、彼のやりたいことではなければ、意味がありません。
そのことを、わかっていただきたくて、彼の話を書かせていただきました。
これまでの中学受験と不登校(600)までの投稿は、アメブロでご覧いただけます。
これまでのブログはこちら
https://ameblo.jp/k-tani-2020