中学受験と不登校(774)子離れしてみないとわからない

子離れしてみないとわからない
今日も私のブログにお立ち寄りいただきありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
以前のことです。
中学受験をして合格した中学校に通う男の子を見ていた時のことです。
この子どもが、塾のテキストを持ってこない、宿題をしてこないというので、手を焼いていました。
また、お母さんが頻繁に塾に電話をしてきて、学校のテストの点数がとれなかったら困るから、ああして欲しい、こうして欲しいと注文をつけられるのです。
その子どもだけの対応というのは、個別指導であっても限界があります。
まして、集団授業で受講しているのですから、それは、できること、できないことがあります。
私の担当教科である、数学でも同じように、注文が付いたので、「それは本人が望んだことですか?」とお聞きしました。
そうしたところ、「本人はそんなこと何も考えていません。でも、それではテストに間に合いませんから、私がお願いしているのです。」とお母さんはおっしゃったので、「それは、本人が考えることなので、本人に任せてください。お母さんができることは、本人と話し合うくらいまでで、もう、お母さんが先回りして動くのはやめてあげてください。」とお伝えしたのです。
それでも、とか、何とかおっしゃっていたのですが、私が「いつまでもお母さんが先回りして動いては、本人が自立できません。」とお伝えしたのです。
それからも、まだ、何度もお電話をいただいたのですが、そのたびに、お母さんの思いで動かないで欲しい、結果が良くても悪くても、本人が責任を負わなければならないことであり、今から自分で責任をもってやることを教えないと、自立できないと、ずっと言い続けました。
その間、本人には、筆記用具は忘れる、テキストは持ってこない、ノートはもってくることなどない、もちろん、宿題などやってもこない、ということが続きます。
同じ学校の同級生の子どもに聞いたところ、学校の提出物も出しておらず、そのことでかなり有名になっているとのことでした。
少しずつ、お母さんが子どものことをやってしまうことについて、私が徹底的にブレーキをかけて、自分でさせるようにしたところ、忘れ物は塾だけでなく学校でもかなりあり、提出物はもちろん、ほとんど出させていませんでした。
学習内容については、方程式の移項がまったくわからない状態になっていて、1次方程式の文章題は、すべて算数で解いているという状態でした。
復習を兼ねて、何度も方程式の解き方を説明→演習ということを繰り返したのですが、他の生徒は塾でのテストでは全員90点以上になったのですが、その子どもだけは、50点を越えられないのです。
この時点で、少し考え直さないといけないと思い、他の教科のこともお聞きして、日頃の様子や、忘れ物の状況、周りの友達との関係性などを考えて、お母さんにも正直にすべてお話をして、このまま放っておくと、本人がどんどんわからないことが増えていくので、一度、発達検査を受けていただいた方が良いのではないかと、思い切ってお伝えしてみました。
お母さんも、そのことをお考えだったようで、すぐに発達検査を受けられる精神科医に予約をされました。
それでも、そこから8ヶ月待ちの状態で、その間は、発達障害があるかもしれないということで、その前提で授業を実施して、さまざまな工夫をして授業を受けてもらっていました。
発達検査の結果は、ADHDの不注意優勢型ということでした。
お母さんがずっと子どものことを先回りしてやってきた結果、何とか中学受験では、第一志望校ではないものの、合格はできたのですが、実は、ADHDの不注意優勢型だったのですが、それがわからずにいました。
お母さんに子どもとの距離を置いてもらい、お母さんが子どものことで先回りして動かないようにしてもらって、はじめて、ADHDだということがわかったのです。
本人には先天的に、注意散漫、忘れ物が多い、時間管理が苦手、順序だてて段取りを組めない、見通しが立てられないなどがあるために、忘れ物をするとか提出物が出せないという状態だったことがわかりました。
これを、いかにしてできるようにするかは、工夫が必要です。
本人には、こちらから提案をして、学習を通してですが、その工夫する努力を本人にしてもらいました。
何とか高校生にはなれましたが、大学受験ではあまり難しいところを考えず、本人が無理なく受験できるレベルの私立大学に進学をしていきました。
このように、お母さんが子離れしていくことで、子どもの持つ良さ、問題になるところが見えてくることがあります。
特に中学受験をさせて、それなりのところに合格させたあとも、心配のあまり、手をかけ、口を出しすぎると、子どものことが見えなくなっていることがあります。
そのためには、中学受験のために、あまりにもお母さんがのめりこんで、子どものことをやりすぎることを習慣にはしないように心がけて欲しいと思います。
ただ、一方で、中学受験まではものすごく手をかけていたのに、合格した途端にポイっと子どもを放り投げてしまうお母さんもかなりいらっしゃいます。
これも子どもにしてみたら、見捨てられた感が出てきて、問題なのです。
これについては、次回、お話ししたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
どうぞ今日も良い1日でありますようにお祈りしております。