中学受験と不登校(732)そういうものだと思っていました

そういうものだと思っていました
今日も私のブログにお立ち寄りいただきありがとうございます。
感謝申し上げます。
私は、思春期の子ども達と接することが圧倒的に多く、その子ども達の動きや話すことをよく見てきました。
子ども達には、いろいろなことを聞くようにもしてみています。
なぜなら、目の前にいる子どもがこれまでに学んできたことがわかるからです。
この10年、ずっとひっかかっていることが、ようやくわかってきました。
それは何かというと、子ども達は「考えていない」ということです。
言い方を変えれば、形だけを学んできたと言っても良いかもしれません。
中学受験で、ご家族の教育・受験にかける思いが、ものすごく熱いものなのに、子どもは、今一つパッとしないということがよくあります。
これはなぜかというと、ご家族の思いが、応援ではなく、もう、期待以外に何もない状態になっているからです。
こうなると、子ども達にとっては、結果を出さないといけないプレッシャーがすごく、精神的な余裕がなくなります。
こういう子ども達が、中学受験大手進学塾で、あまり成績が奮わないことになります。
私は塾では算数や数学を担当することが多いので、算数のことでお話しすると、旅人算、相当算、つるかめ算などの特殊算では、こういう子ども達は、「解き方を覚えようとする」のです。
悪いこととは言いませんが、それでは少しひねられると、途端に太刀打ちできなくなります。
また、そもそも問題文を読んで、条件を整理して、どういうことを考えないといけないかを理解し、算数としてどのように式を立てていけばいいかを考え、最後まで実行して解答する、というようなことは、到底できないことが多いのです。
なぜでしょうか?
どうしてそうなるのでしょうか?
そこで、子ども達に、特殊算の解き方について「どうしてこのようにするのか?どうしてこのように解くのか?」と聞いたときに、
「そういう様に解くものだと思っていました」
「そうするものだと思ってました」
という答えが返ってくるのです。
最近、そこでようやく合点がいきました。
「そう言うものだと思っていました」ということは、自分では考えていないのです。
この子ども達は、ずっと「そう言うものだと思っていました」ということで考えることを拒否しながらも、結果だけは欲しいので、その結果を追い求めながら、いかに考えないかということを、ほぼ無意識にやっているのだと、わかったのです。
考えている時間的な余裕はありません。
しかも、結果、要するに塾のテストや模擬試験の点数は必要です。
いかに考えずに、しかも、必要な結果を取り出さなければならないとすると、「そういうものだと思う」ことで、そのことを覚えてしまえばいい、ということをやってのけているのです。
ところが、人間は忘れる生き物です。
覚えたものは、必ず忘れるものです。
ここに、人によって覚えていられる量が異なるために、「そういうものだと思う」ようにして、覚えていられる量が違うために、テスト結果に差が出てきます。
中にはそれだけで、トップクラスの成績を出す子どももいますが、大半の子ども達は、どうやっても、そこまではいきません。
なぜなら「忘れる」からです。
そこで、ご家族、特にお母様が躍起になってやらせようとすると、さらにこの「そういうものだと思う」ことを強化し、悪循環になっていき、成績は全く伸びないということが起こるのです。
そんなことになるくらいなら、中学受験をやめて、のびのびと小学生時代を過ごし、自分が必要だと思うようになってから、高校受験、あるいは、大学受験で自分が望む学校を受験し、進学して行く方が、ずっと良い結果になるだろうし、本人も満足できると思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今日も良い1日をお過ごしください。