中学受験と不登校(672)学習以前の問題(6)

学習以前の問題(6)~どうしてもやれないときの方法~
今日も私のブログにお越しいただきありがとうございます。
感謝申し上げます。
塾に来てくれる子ども達の「やる気が出ないと勉強できない」という問題についてお話しています。
ここまで「やる気など出ない」「やる気に頼らない学習法」などのお話させていただきました。
それでも、どうしても、やる気にならない、学習をする気にならないというときに、どうするかということを、お話ししたいと思います。
子ども達もそうですが、大人でもなかなか動き出すまでに時間のかかることがあります。
これは、その人がダメなのではなくて、脳の作りができるだけ新しいことをしないで、現状を維持しようとするようになっているからなのです。
人の脳というのは、新しいことを基本的には好みません。
これは防衛本能からです。
少しだけ難しい話になりますが、人には「現状維持バイアス」というものがはたらきます。
「現状維持バイアス」というのは、変化を避け、現在の状態や、これまでの選択肢を好む傾向を指す心理的な現象のことを言います。
「現状維持バイアス」の主な特徴は4つあげられます。
①人は現在の状況や習慣を維持することを好む。
②変化に伴う未知のリスクを避けるため、現状を維持しようとする。
③変化によって生じる可能性のある損失を過度に恐れる傾向がある。
④慣れ親しんだ状況に対する安心感が、変化を避ける理由となる。
このような脳の性質のために、動こうとしない、やろうとしないということが起こっているのです。
前回、「やる気に頼らず学習する方法」として
①とりあえず動く
②やらないといけない環境がある
③習慣的にする
の3つをお話ししたと思います。
この現状バイアスが働く中で、子どもに学習を始めさせようと思うと、「①とりあえず動く」ということが、大切になります。
脳は「現状維持バイアス」のために、動かないように、変化を避けるようになることは、お話しした通りです。
このときには、脳の中はドーパミンというホルモンがあまり出ないようになっています。
ドーパミンはセロトニン、エンドルフィンと並ぶ「3大幸せホルモン」の一つと言われていて、やる気や集中力、モチベーションに関与しており、適度な量のドーパミンが分泌されることで、前向きな気持ちになれたり、目標に向かって頑張れたりします。
それが抑制されてしまうので、当然、「学習をしよう!」とはならないのです。
そこで、「①とりあえず動く」ことが大切になるのです。
少しだけ動くと、この抑制されていたドーパミンが、少しずつ増えて、いつも通りには分泌されるようになります。
そうすると、動くことで、現状維持バイアスが弱まることになり、ほんの少しでも動き始めたことで、不安感が弱まることになります。
そのことで、より学習へ向かうことができるようになっていくのです。
だから、どうしても学習に気持ちが向かないときは、ほんのわずか10秒程度でもいいので、学習に向かう行動を起こすと、学習を始められるのです。
・テキストをカバンから出す
・机にノートを広げる
・単語帳をながめる
・今日学校で習ったことを思い出す
など、「こんなことをやって意味があるのか?」というようなことでいいので、学習に向かう行動を起こす、やってみることで、学習を始めることができるのです。
お分かりだと思いますが、ここで、「早く勉強しなさい!」というのが、最もダメで、無駄な行動になります。
現状維持バイアスを、明らかに強化する言葉ですから、やらないに決まっています。
それよりも、小学生のお子さんなら、「今日、学校(塾)で何を習ったの?今どこをやってるの?」と聞いてみるとか、「すぐにできなくてもいいから、とりあえず本を開いて眺めておいたら?」と、子どもがすぐにできそうなことを、聞いてみると、子どもも動きやすく、一度、動けば少しずつ学習をし始めることができるようになります。
こういうことを、少しお母さんが知っておくことで、子ども達が学習しやすくなり、習慣化もできるようになっていきます。
お子さんが学習に向かうように、学習に関するほんのちょっとしたこと、10秒程度でできることを、とりあえずやってみるように、お子さんにお話ししてみてください。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
今日も良い1日をお過ごしください。