中学受験と不登校(661)私立中学での不登校(5)

私立中学での不登校(5)
~自己肯定感のさらなる低下~
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私立中学校に合格したけれど、通えなくなる子ども達のことを考えています。
前回は「学習の遅れによる焦り」で学校に通えなくなり、その根本は小さいころから「いい子」に育ってしまったからだということを、お話しさせていただきました。
「風邪をひいて休んだら、そのあと行きにくかった」と言うくらい、私立中学で不登校になった子ども達は、学校に通えなくなるもっと以前から、ご家族や周りの大人が思っている以上に、精神的にはかなりの負担感を感じながら、中学受験塾に通い、中学受験を行い、合格してさらにこの追い詰められた精神状態に拍車をかけて、自らを追い詰めていくことになります。
今は、オーストリアのインスブルックで大学の教官として、工学博士として最先端の科学技術の研究をしている教え子がいます。
中学受験で、兵庫県の最難関中学の一つに合格して、中1の途中から不登校になり、中2の終わり、その私立中学を退学し、それから7年間ひきこもり、私が出会ったときは、もう高校を卒業している年齢でした。
彼は、とても礼儀正しく、出会ったときも、とてもいい若者でした。
こんな若者が、これほど長い間、自宅に引きこもらなければならないほど、中学受験の前から精神的に追い詰められていたのかと、残念でなりませんでした。
この若者T君とは、卒業までにいろいろなことを話し、日本の歴史や教育から経済の話までを、時間を忘れて話をしました。
昨年も日本に帰国したときに、私を訪ねて来てくれました。
そのときにも、日本の教育、中学受験などについても話をしました。
彼が昨年、中学受験の時のことを振り返り、こう話してくれました。
「中学で不登校になったときは、まるで自分はダメな人間のように感じてしまい、自己肯定感なんて感じるどころか、持つこともできなかった」と言っていたのです。
自己存在感と自己肯定感についての話しになり、「そんなのものじゃなかったですね。自己存在そのものを否定してました。」と。
「そのくらい追い詰められてしまい、どうすることもできなかったのですが、それは、中学受験前から感じていて、とにかく必死だったのが、不登校になり、精神的に疲れ切って、結局7年もひきこもってしまいました」と、T君は言っていました。
この話は、T君が通ってくれている時にも、何度も聞いたのですが、T君の言うように、中学受験前から、精神的には本当にぎりぎりの状態で踏ん張っているのですが、T君はそうなった原因をはっきりとお母様だと言っていました。
そのことは、下記のところに、以前に書いていますのでお読みいただければと思います。
私立中学で不登校になる子ども達の中に、中学受験時から、自己肯定感が低く、ご家族委に言われて、懸命に自分を奮い立たせて、無理をして、無理をして、何とか合格できたあと、更なる競争でさらに自己肯定感をさげ、自己存在感も感じられなくなり、学校に通えなくなる子どもがいるのです。
Tくんは今では、私が心から尊敬する、すばらしい研究者として、後進の指導にもあたりながら、世界の最先端の研究をしています。
そうなることができて、良かったと思いますが、一歩間違えば、命を落としていたかもしれないと、T君自身が言っていました。
そのくらい、追い詰められてしまうことがあり、その追い詰めてしまうのは「悪気のないご家族」なだけに、子ども達が辛いのです。
そうならないように、お子さんにどのように勉強させるのか、お子さんに無理はないか、十分に考えた中学受験であって欲しいと願わずにはいられません。
今日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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