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親の不安が子どもに伝わると、家庭で何が起きるのか―「平気なふり」が一番伝わってしまう理由

中学受験の生活面・メンタル面を考える(20)

親の不安が子どもに伝わると、家庭で何が起きるのか

今日も私のブログにお越しいただき、ありがとうございます。

感謝申し上げます。

夜10時過ぎのリビング。

ダイニングテーブルの上には、消しゴムのカスと、まだ半分も終わっていない塾の宿題プリント。

目の前のお子さんは、シャーペンを持ったまま、どこかぼーっと宙を見つめている。

「ねえ、いつまでそうしているの? もうこんな時間だよ」
「この単元、先週も間違えたところでしょ。このままだと、次の組分け、また落ちちゃうよ」

焦る気持ちを抑えきれず、つい強い言葉をぶつけてしまう。

そして夜が更けて、お子さんが寝静まった後。

スヤスヤと眠る無防備な寝顔を見つめながら、 「どうして私、いつもあんな言い方しかできないんだろう」 「あの子だって毎日疲れているのに。ごめんね……」 と、一人で涙をこらえる。

——もし、こんな夜を何度も繰り返しているとしたら。それは、お母さんが悪いわけでも、子育てを間違えているわけでもありません。

今日は、その苦しさの根っこにある、お母さん自身の「不安」のお話をさせてください。

「平気なふり」が、一番子どもに伝わってしまう

ある日、相談に来られたお母さんが、こう話されました。

「谷さん、私、絶対に子どもの前では平気な顔をしているんです。模試の結果が悪くても、笑って『大丈夫よ』って言うんです。それなのに、最近、息子が私と目を合わせてくれなくなって……。私のどこがいけないんでしょうか」

このお母さん、何も悪いことはされていません。

ただ、一つだけ、お伝えしたいことがありました。

それは、子どもは、お母さんの「言葉」ではなく、「空気」を読んでいるということです。

模試の結果のプリントを開くときの、ほんの一瞬の表情。 塾から帰ってきた子どもに「お疲れさま」と言うときの、声のトーンの硬さ。

リビングを通り過ぎるときの、肩の力の入り方。 食卓に流れるため息。

子ども達は、こちらが思っている100倍くらい、お母さんの状態を察知しています。

ということは、お母さんがどれだけ言葉で取り繕っても、不安が体の中にある限り、子どもにはそれが「家の中の空気」として届いてしまう、ということなのです。

家庭の中で、何が起き始めるのか

お母さんの不安が空気として伝わると、家庭の中で必ず起きてくることがあります。順を追ってお話しします。


第一段階:子どもが本音を言わなくなる

「模試どうだった?」と聞いても、「ふつう」。
「塾でなんかあった?」と聞いても、「べつに」。

思春期だから仕方がない、と思われるかもしれません。

ただ、必ずしも思春期だけが原因ではないのです。

子どもは、自分が話す内容によって、お母さんの表情が曇ることを学習しています。

ですから、お母さんを曇らせない言葉だけを選ぶようになる。それが「ふつう」「べつに」なのです。

第二段階:小さな嘘が始まる

宿題のチェック表に丸をつけて、やっていない問題を「やった」ことにする。

テストの点数を、ほんの少しだけ高く伝える。

これを見つけると、お母さんはショックを受けられます。

「うちの子は嘘をつくような子じゃなかったのに」と。

ただ、その嘘の動機は、ほとんどの場合「ずるさ」ではありません。

「お母さんをこれ以上、不安にさせたくない」という、子どもなりの優しさから来ているのです。

ということは、子どもは、お母さんよりも先に、家庭の不安を背負い始めているということなのです。

第三段階:家でも休めなくなる

会話の8割が、勉強の話になります。

「宿題やった?」「直しは?」「次の組分けは?」

塾でがんばって、学校にも行って、家に帰ってきた。本当は少しぼーっとしたい。けれど、家に帰ってもずっと監督されている空気がある。

家が安心する場所ではなく、“評価される場所”になってしまうと、子どもは家でも休めません。

心のエネルギーがどんどん削られていきます。

第四段階:体や心にサインが出る

朝起きられない
お腹が痛い
頭が痛い
塾に行く時間になると、トイレから出てこない。

このサインが出てから慌てて対応するのでは、もう、かなりエネルギーが減っている状態なのです。

「やる気がない」の向こう側にあるもの

ここで、お母さんが一番苦しいのは、

子どものためにやっているのに、子どもを追い詰めているように見えてしまう

というところだと思います。

私たちは、子どもが宿題をやらなかったり、ゲームばかりしていたりすると、「怠けている」「やる気がない」と決めつけてしまいがちです。ただ、必ずしも、そうとは限りません。

机に向かってもぼーっとしてしまう。 直しを嫌がる。 急に黙る。あるいは急に反発する。

その向こう側にあるのは、 「塾の授業のペースが速すぎて、実は基礎からわからなくなっている」 「学校と塾の往復で、心も体もすり減りきっている」 「お母さんの期待に応えられない自分が情けなくて、現実逃避している」 「これ以上、お母さんをがっかりさせたくない」

そういう、言葉にならない想いであることが、本当に多いのです。

ここが、私がもっともお伝えしたいところです。

子どもの言葉や行動の向こう側の想いを聞く。

これがないまま、対策だけ増やしても、家庭は苦しくなりやすいのです。

なぜ、お母さんの不安は消えないのか

ここまで読んで、「じゃあ、私が不安にならなければいいのね」と思われたかもしれません。

ただ、これが一番難しいのです。

なぜなら、不安は、お子さんを大切に思っているからこそ湧いてくる感情だからです。


お子さんがどうでもいい存在なら、模試の結果に動揺もしません。クラスが下がっても、平気でいられます。

不安があるということは、お母さんがお子さんの人生に真剣に向き合っている証拠なのです。

ですから、不安をなくそうとしないでください。なくそうとすればするほど、不安はかえって大きくなります。

子どもは、お母さんの不安を背負える存在ではない

41年、子ども達と関わってきて、のべ8,000人以上のご家庭を見てきました。

その中ではっきり言えることが、一つあります。

それは、子どもは、お母さんの不安を解決するために生まれてきたのではない、ということです。

「この子の成績が上がれば、私の不安は消える」 「この子が第一志望に受かれば、私はやっと安心できる」

そう思った瞬間、お母さんの不安の解決責任が、お子さんの両肩に乗ってしまいます。

12歳の子どもにとって、それはあまりにも重い荷物なのです。

子どもが本来、中学受験の中で経験すべきは、「自分のために考え、自分のために動く」という体験のはずでした。

ところが、お母さんの不安が乗ってしまうと、子どもは「お母さんを安心させるために勉強する」という構造に変わってしまうのです。

これが、燃え尽きや、不登校の入り口になっていきます。

一番大切な一歩

お伝えしたいのは、たった一つです。

お母さんの不安は、お母さん以外の誰かに、聞いてもらってください。

ご主人でも、ご友人でも、専門家でも構いません。

ただ、子どもには聞かせないこと。子どもの目の届かないところで、誰かに不安を吐き出すこと。

それだけで、家庭の空気は、驚くほど変わります。

なぜなら、お母さんの不安が外に流れる出口ができた瞬間、子どもの肩から荷物が降りるからです。

そうして初めて、お母さんは、お子さんの言葉や行動の向こう側にある想いを、聞ける状態になれるのです。

「宿題やりたくない」の向こうにある、本当の気持ち。 「塾、行きたくない」の向こうにある、本当の理由。

それを聞ける耳は、お母さんの心が少しでも軽くなったときに、初めて開きます。

もし、今この記事を読んで「私のことだ」と感じられたなら

一人で抱え込まないでください。

これまで、中学受験のメンタル面・生活面で苦しまれているお母さん方のお話を、たくさんお聞きしてきました。

「こんなこと、塾の先生には言えない」 「ママ友にも言えない」 「夫にも分かってもらえない」

そうおっしゃるお母さんが、ほとんどです。

ですから、まずは話してみてください、という感じです。

売り込みたいわけではありません。

ただ、お母さんが一人で抱え続けると、どうしても不安は強くなります。

不安が強くなると、子どももまた苦しくなります。

今の状態を一度言葉にして整理したい。子どもの本音がどこにあるのか見立ててほしい。家庭の関わり方を落ち着いて考えたい——そう思われるなら、下記からご相談ください。

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また、「そもそも今の塾で本当に合っているのか分からない」「学習のアプローチそのものを見直したい」というご家庭につきましては、私が講師を務める難関中学受験対策専門塾クリエートベース(https://createbase.jp/)にて、入塾前個別相談をお受けしております。一人ひとりの現状に合わせて学習戦略を立て直すことで、家庭の負担が変わることもあります。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

どうぞ今日も良い一日でありますようにお祈りしております。

ー中学受験と不登校(1028)ー

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